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【特集】

経営人材育成

ホールディングス化、M&A、親族外承継に伴う分社化など、企業経営のスタイルが多様化する中、自社を牽引する複数の経営人材の育成が急務となっている。中堅リーダーの目線を経営視点まで引き上げる、実践型の「未来創造機能」の実装メソッドを提言する。
2022.08.01

「開発型DNA」を受け継ぐ人材を創出する:オーレック

第2期のDX戦略推進プロジェクト。知恵を出し合う中で、社員自身が成長を遂げていく実践型プログラムだ

 

 

福岡市の中心部に位置するブランド発信拠点「OREC green lab福岡」。人々の農や食への親しみや興味を喚起するため、2019年10月に開設した

 

 

新たな価値創造へ向けて2030年ビジョンを具現化

 

2022年9月から始動する第3期ジュニアボードのテーマは、「2030年ビジョンの具現化・働きがい&やりがいづくり」。2030年をゴールとした同社の長期ビジョン「新しい価値を提供するグリーン・イノベーション・カンパニー」の具現化に向け、2022年5月現在、活動内容を最終検討している。

 

第1~2期と比べてテーマを大きく広げた理由、また今後の展望について、関氏は次のように語る。

 

「全社レベルで社員の視野が広がっており、意識改革ができていると感じます。Gateway Projectを通して着実に社員が進化しているからこそ、より視座を高めて目標に向かってもらいたいと思い、社員のエンゲージメントの向上にもつながるテーマを設定しました。ジュニアボード開催後には毎回、課題を出しますが、その課題をどう改善していくかが次につながります。ディスカッションでは現状に対する文句や不満が出がちですが(笑)、それを言い合うことがとても大事です。そこに課題があるということですから。

 

ただ、それを主体的に解決していけるかどうかで、メンバーの成長にも当社の成長にも、大きな差が出てきます。新しい発想をし、気付きを得るという土台はできたので、今後、ボードメンバーは若手から選出していきたいと考えます」

 

SDGsの達成目標年と重なる2030年までの長期ビジョンを視野に入れた第3期のジュニアボードには、「グリーン・イノベーション・カンパニー」として、社会貢献することでSDGs達成を目指す内容も取り入れる予定だ。

 

「自動草刈機は、すでに有機農産物普及へ貢献しています。でも、『自動で草刈りをする』という一面にしか貢献していないとも言えます。自動草刈機を何のために作っているのか、ずっと掘り下げていくと、消費者のためにやっていることが分かります。安全・安心な有機農産物を欲している消費者がいて、その方に届けていく。そのために自動草刈機が必要なのです。当社の顧客は草刈機のユーザーである生産者ですが、その先の消費者へも価値を届けたい。有機農産物の生産者と消費者が分断されてうまくいっていない現状を、変えていきたいのです」(今村氏)

 

有機農産物の普及へ多面的に対応するため、オーレックは新規事業を数多く立ち上げている。「M&Aや業務提携も視野に入れています。生産の普及、消費の普及を手助けする存在になっていく。それが2030年の長期ビジョンで描く“グリーン・イノベーション・カンパニー”の形であり、新しい価値の創造です」。そう語る今村氏は、経営人材の育成について次のように続ける。

 

「グループ化すると、当然、各社に経営者が必要になります。だからこそのジュニアボードでもあり、第4期、第5期と続けていく予定です。また、社員も増えていきますので、働き方や育成の多様化も検討していかなければなりません」

 

人材育成を始めて約20年、ジュニアボードに取り組み5年。変わることのない創業の精神と、社是「明るい未来創りに貢献する」がベースにあるからこそ、オーレックは未来に向けて柔軟に変化し、成長を続けていく。

 

 

オーレックの代表取締役社長・今村健二氏。「ジュニアボードは、第4期、第5期と続けていく予定です」

 

 

PROFILE

  • (株)オーレック
  • 所在地:福岡県八女郡広川町日吉548-22
  • 創業:1948年
  • 代表者:代表取締役社長 今村 健二
  • 売上高:157億7900万円(連結、2021年6月期)
  • 従業員数:408名(連結、2022年5月現在)

 

 

 

 

 

 

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