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【特集】

経営人材育成

ホールディングス化、M&A、親族外承継に伴う分社化など、企業経営のスタイルが多様化する中、自社を牽引する複数の経営人材の育成が急務となっている。中堅リーダーの目線を経営視点まで引き上げる、実践型の「未来創造機能」の実装メソッドを提言する。
2022.08.01

ベネフィット・ワン:社員の「感度」を磨き企業文化を創造する

社内に配置されたデジタルサイネージ。各部門の取り組みや業績数字・株価指数などの情報が公開されている

 

 

社員の感度を磨くことが企業成長の源泉

 

ベネフィット・ワンでは、ジュニアボードで生まれた施策の実践とは別に、複数の組織横断プロジェクトを立ち上げてきた。代表的な施策に「社内ベンチャー制度」や「スマートオペレーションプロジェクト」がある。

 

社員から新規事業案を募る社内ベンチャー制度からは、同社の主力事業の1つであるインセンティブ事業が立ち上がっている。クライアント企業の従業員や顧客・代理店向けにポイントの付与・管理システムと、交換アイテムをワンストップで提供する、ロイヤルティーやモチベーションアップのためのポイントプログラムサービス「インセンティブ・ポイント」である。2022年4月現在、約400万人が利用するサービスへと拡大している。

 

スマートオペレーションプロジェクトは、愛媛県松山市にある同社オペレーションセンターの生産性向上を目指すプロジェクトである。これまで、会員の申し込み受付は同社のオペレーションセンターで行っていたが、サービス提供会社に直接申し込みができる仕組みを構築し、業務の効率化に成功した。

 

さらに、新型コロナウイルス感染拡大前から「Neo Works」という働き方を導入。外部人材などの活用や、サテライトオフィスの導入などを通して、従業員の生産性向上も実現した。

 

「このような取り組みが成功しているのも、ジュニアボードをはじめとした組織横断的な取り組みによって、社員の感度の劣化を防いできたからだと自負しています。今後も、社員の感度を高める施策を取り入れるつもりです。

 

ただ、社内だけで施策を行っても自分の変化に気が付きにくいので、異業種交流会をさらに拡大していきたいと考えています。例えば、社外へ出向できる仕組みづくりなどです」(白石氏)

 

進取の気風を失わないように、ジュニアボードメンバーと自らコミュニケーションを行い、さまざまな施策を導入して経営者マインドを伝えてきた白石氏。これからジュニアボードなどの制度を通じて社員育成を目指す企業に対して、次のようなエールを送る。

 

「繰り返しになりますが、社員の主体性や危機感などは、組織が大きくなるに従って劣化していきます。それを防ぐのが経営者の仕事だと考えています。ジュニアボード制度などの機会を活用しながら、考え方や物事の捉え方を社員に伝えていきたいです。企業が成長するためには、トップダウンで新しいビジネスモデルを創出するよりも、社員の感度を磨くことが重要だと思います」(白石氏)

 

 

ベネフィット・ワンの代表取締役社長・白石徳生氏。「ジュニアボードなどの機会を活用しながら、考え方や物事の捉え方を社員に伝えることが重要です」

 

 

PROFILE

  • (株)ベネフィット・ワン
  • 所在地:東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー37F
  • 設立:1996年
  • 代表者:代表取締役社長 白石 徳生
  • 売上高:383億6200万円(連結、2022年3月期)
  • 従業員数:1551名(2022年4月現在)

 

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ジュニアボードコンサルティング

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現状の自社の課題認識を明確化し、現役員陣への提言、役員陣での検討を経て、実行・定着へとつなげていくことで、「常に課題と向き合う未来創造機能」として社内の経営システムへと進化させます。

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