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【特集】

企業内大学

企業にとって最大の経営資源である「人」は、自社の存続・成長に欠かせない大切な存在だ。持続的成長の基盤となる、デジタルとリアルを融合させた総合的な学習・育成システム「FCCアカデミー(企業内大学)」の設立・運営メソッドを提言し、社員の成長を自社の発展につなげるモデル事例を紹介する。
2022.07.01

「個人と会社の共成長」を目指す:味の素

キャリアデザインシートなどの情報を社内で公開し自律的キャリア開発を図る

 

全社員のキャリア開発を幅広く支援

 

Success Factorsとともに、味の素の自律的キャリア開発に不可欠なものが「人財」である。若手社員には、職場の上司や先輩によるOJT(オン・ザ・ジョブトレーニング)をはじめ、直属の上司や先輩ではない、違う部署の先輩が「ななメンター」として、仕事の精神的な悩みや人間関係、キャリア形成などの相談に対応することで、若手社員の成長を促している。

 

また、2012年にスタートした宮川氏が在籍するキャリアサポートチームも、自律的キャリア開発に大きく貢献している。同チームは人事部人財開発グループ内にあり、「味の素シニア人財再雇用制度」などを中心にキャリア・ライフプランをサポートする施策の立案・運用を行うとともに、全社員を対象としてキャリア個別相談を実施している。

 

「キャリアサポートチームでは、守秘義務に基づいて全社員のキャリアの相談に応じています。キャリアコンサルタントの資格を持つメンバーが、社内を対象にしたキャリア形成の相談はもちろん、退職後のセカンドキャリアを含めた相談に応じています。その他にも、転職を考えている社員に対し、専門性やスキルが社外でどのように生かせるのかなどをアドバイスしています。

 

また、退職したOBの方の相談に応じることもあります。あくまでも会社の利益優先ではなく社員のキャリア開発という視点から支援を行っています」(宮川氏)

 

自律的キャリア開発支援に力を注いでいる同社では、今後、これまでに実践してきた施策の成果を測定する予定である。例えば、Success Factorsなど各ツールの効果や各制度を社員がどのように捉えているのか、大規模なキャリアに関するアンケートを実施することで課題を炙り出し、的確な打ち手につなげる。他にも、随時、社員からの感想を吸い上げて各施策の改善も図っていく予定だ。

 

社員一人一人が自分のキャリアについて考える気付きの機会を多く提供し、手厚く支援するのは、同社グループの共通価値観である「味の素グループWay」の1つ、「人を大切にする」を実践するためである。自律的キャリア開発支援制度の整備に力を注ぎ、社員と会社が共に成長する未来を目指し、味の素はたゆみなく前進を続けていく。

 

 

在職中のキャリアだけでなく退職後のキャリア相談までサポート

 

味の素 人事部人財開発グループ
シニアマネージャー 宮川 隆史氏

 

 

 

PROFILE

  • 味の素(株)
  • 所在地:東京都中央区京橋1-15-1
  • 創業:1909年
  • 代表者:代表執行役社長 藤江 太郎
  • 売上高:1兆1493億7000万円(連結、2022年3月期)
  • 従業員数:3万3461名(連結、2021年3月現在)

 

 

 

 

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