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【特集】

デシジョンマネジメントシステム

的確で迅速な経営判断が求められる今、社員が質の高い意思決定を行うことができれば戦略実行の精度が上がり、生産性の向上や利益の最大化につながる。管理会計とその運用を含む「意思決定のマネジメント」について提言する。
2022.06.01

業績先行管理で、「全員経営」を:沼津ヤナセ・ホールディングス

沼津ヤナセ 営業部 次長 原 一明氏

 

 

自社に合った方法でシステムを構築する

 

VMボードを導入し、業績先行管理が可能になった沼津ヤナセ。だが、運用する上での注意点があると原氏は指摘する。それは「景色」や「掲示物」にならないようにすることだ。

 

「いつでも自分の業績確認や目標達成率が把握できる便利なツールですが、ともすると、VMボードが日常風景になってしまいがちです。そのため、常に数字を意識し、VMボードで自分が今やるべきことを考え、行動する習慣を付けてもらうよう社員に指導しています」(原氏)

 

同社では現在、営業の日報管理や会計管理などで徐々にデジタル化を推進しており、今後も可能な業務からDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めていく予定だ。

 

「銀行やファイナンス、自動車メーカーなどの取引先とは紙でのやりとりも多く、そちらと足並みをそろえていかないと、かえって非効率なので、状況を見ながら徐々にデジタル化を推進していきます。ただ、VMボードのデジタル化は考えていません。当社はショールームで接客をすることが多い業種です。展示会の時などは社員がオフィスに一堂に集まる働き方です。そのため、壁のVMボードをさらに進化させて効率化を進める“AX(アナログトランスフォーメーション)”の方が、はるかに効率が良い。いちいちパソコンを立ち上げてブラウザ上で確認するよりも、同じVMボードを利用してすぐに社員が必要な情報を共有できるアナログな方法が適しています」(名取氏)

 

もちろん、デジタル化を否定しているわけではない。現に同社では、メールマガジンをはじめ、InstagramやFacebookなどのSNSを活用した集客に力を注ぐ。例えば、顧客に対して行った新車の燃費実験結果をメールマガジンで配信したり、来店者にノベルティーをプレゼントする情報をInstagramで告知したりするなど、情報発信を行っている。こうしたプロモーションで、若い世代の新規顧客獲得にも成果を上げている。

 

「すでに中古車販売はオンラインが中心になっていますが、今後は新車販売もオンライン販売が進むはずです。オンライン販売が浸透すれば、より多くのお客さまへアプローチしたり、営業の効率化も図れたりするのでディーラーにとって大きなチャンスになる。そんな時代に備えて、今からデジタル化に取り組んでいくことは不可欠でしょう。当社もデジタル化への仕組みづくりや社員のデジタルリテラシー向上に当たっています」(名取氏)

 

3Sから5S、そしてVMボードの活用と段階を経ながら社風改革を推進し、結果として部門や個人ごとに迅速に行えるデシジョンマネジメント確立に成功した沼津ヤナセ。その方針はぶれることなく、アナログなVMボードを進化させるとともに未来を見据えたDX戦略にも抜かりはない。

 

 

沼津ヤナセ 営業部 部長代理 小川 典雅氏

 

 

 

PROFILE

  • 沼津ヤナセ・ホールディングス(株)
  • 所在地:静岡県駿東郡清水町八幡17-1
  • 創業:1962年
  • 代表者:代表取締役 名取 正純
  • 売上高:63億4000万円(グループ計、2021年9月期)
  • 従業員数:79名(グループ計、2021年9月現在)
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