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【特集】

体験価値の設計

企業の存在意義や社会的責任が、ビジネスを考える上で欠かせなくなった今、経営はどう変わる必要があるのか。顧客だけでなく、全ステークホルダーの「体験」を価値あるものに変え、行動変容を促すことによって企業価値を高める「体験価値の設計」を提言する。
2022.04.01

タナベグループ対談:ジェイスリー足立功治氏・中川桜氏×タナベ経営

【図表】ジェイスリーの目指すブランディング

出所:ジェイスリー提供資料よりタナベ経営作成

 

 

経済産業省・特許庁は、2018年の「デザイン経営」宣言で、デザインは企業価値を向上させる重要な経営資源であり、社会や市場にまだ見えない形で存在する課題を抽出し解決する重要性があると説いている。クリエイティブの力で顧客の企業価値分析から事業戦略の構築、広報まで包括的に支援しているジェイスリーが、ブランディング戦略についてタナベ経営と討議した。

 

 

価値を共創するブランディングパートナー

 

タナベ 井上 ジェイスリーは、大企業から中堅企業のブランド構築やブランド価値の向上、新たな価値の創造に取り組んでおり、クライアント総数は500社以上に達します。まず、会社概要と沿革をお聞かせください。

 

J3 足立 当社は1986年に現顧問の千坂和寿が設立。「人が、ヒトと、ひとへできることを大切にしていこう。」という企業理念の下、ブランディングやCXデザイン、マーケティングDXに関するノウハウと知見を生かし、企業の「価値を共創するブランディングパートナー」として、ブランドマネジメントを多角的にサポートしてきました。

 

創業当初は紙媒体のグラフィックデザインが業務の主体でしたが、2000年前後から始まるデジタル化をいち早く察してウェブ時代のクリエイティブへ方向転換し、事業を拡大していきました。私はデザイナー出身で、2020年に社長就任。プランニングやマーケティング、テクノロジーを含めたクリエイティブを提供し、クライアントの“価値”を効率的に伝えるブランディングに注力しています。

 

タナベ 井上 クリエイティブの領域でも、デジタル比率は上がっていますか。

 

J3 足立 はい。紙媒体はコロナ禍のインパクトを強く受けており、発行中止やウェブへの転換が進んでいます。また、通信販売の主力窓口も紙媒体からネットへ移行するなど、販促活動も今やデジタルなしには成り立たない状況です。

 

タナベ 井上 ブランディングに対する考えをお聞かせください。

 

J3 足立 ブランディングとは企業の「資産」であり、「価値」そのもの。しかし、実際にクライアントと話をすると、自社の価値を正確に表現できなかったり、人によって捉え方がバラバラだったりします。そこで、さまざまな意見を整理しながら自社の価値の確立をお手伝いし、それを可視化して世間へ正しく伝えていくことをブランディングの軸にしています。

 

タナベ 竹綱 ブランディングの構築はどのように進行するのですか。

 

J3 足立 当社のブランディングに関する事業は、“見つける・導く”を支援する「リサーチ&コンサルティング」、“つくる・伝える”を支援する「クリエイティブ」、“広める・育てる”を支援する「マーケティング&グロース」という3つのフェーズに分かれます。ただ、フェーズ単体でオーダーを受けることはめったにありません。3つのフェーズが重なりながら、ブランディングが進んでいくからです。(【図表】)

 

例えば、「ウェブサイトを格好良くしたい」とのオーダーを受け、先方の担当者から話を聞くと「問い合わせが全然来ない」「サイトが見づらい」「スマホに対応していない」といった事情が明らかになります。そこでサイトのデザインや機能を刷新するだけでなく、「リサーチをかけて営業課題を洗い出しましょう」「課題解決に向けたマーケティング戦略を構築しませんか」といった提案を行い、その実施をサポート。さらに、ブランドの成長や運営まで支援していくイメージです。その間、クライアントとは定例会を開催するなどして交流の維持・拡大を図ります。

 

タナベ 竹綱 現在、アウトプットはどの領域までカバーしていますか。

 

J3 中川 ウェブサイト構築からSNS運用方針の策定、コンテンツの企画まで幅広くフォローしています。コロナ禍でコミュニケーションがリアルからデジタルへ転換し、SNSの動画制作や運用、キャンペーンに対する相談が急増しており、SNS立ち上げやガイドラインの策定なども行っています。

 

 

 

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