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【特集】

コミュニケーションMIX

Webダイレクトマーケティング活況の今、チャネル(媒体)を適切に組み合わせて顧客にメッセージを届ける「コミュニケーションMIX」の仕組みが求められている。ブランディングとマーケティングとセールスが一体となった顧客とのコミュニケーションモデルの設計方法を探る。
2022.03.01

ウェブ活用のDtoCで攻める:明治機械製作所

YouTube明治機械製作所営業本部公式チャンネルの動画。ハンドスプレーガンのメンテナンス方法を解説した動画は再生回数1万8000回を超えている(2022年1月現在)

 

「LCC」を追求するものづくりが土台

 

同社には、創業以来、「LCC(Life Cycle Cost)」を追求する独自のものづくり精神が根付いている。

 

「イニシャルコスト、ランニングコスト、メンテナンスコスト。3つのコストのうち、ユーザーはイニシャルコストに目が向きがちです。しかし、イニシャルコストが少し高くても、性能が良ければランニングコストやメンテナンスコストを抑えられます。当社の標準品は2年で価格差を解消し、長い目で見れば総コストでお得になります。そんなLCCを大切にすることが、特殊品でも他社との違いを生む力になっていきます」(佐伯氏)

 

そのこだわりから誕生したのが、2003年に発売されロングセラーとなったスプレーガンのブランド、Finerシリーズだ。ユーザーの声を開発に取り入れ、品質や使いやすさを向上させて大ヒット。高評価が次への期待を呼び、それに応えることで約20%という安定した市場シェアを築いている。

 

同社の土台であるLCCの考え方はウェブマーケティングでも用いられている。今後はLCCの精神や技術へのこだわりを伝える動画も積極的に発信していくという。Finer シリーズを認めた人気ユーチューバーと、シリーズ第1号商品を開発した技術者が、使い手と作り手の立場から世界観をぶつけ合う対談企画を検討している。

 

「定期的に新規ユーザーを獲得するキャンペーンも展開していきます。あえて波を作り、タイミングを見極める大切さ、ターゲット設定のチューニングなど、タナベ経営のサポートを得ながら、効果測定ができるウェブの強みを実感しています。自社商品を評価するユーザーの声や喜ぶ姿が見えることで、社員に達成感も生まれています」(山田氏)

 

ウェブマーケティングの推進が社内変革のトリガーになり、新たに2022年から始まる中期経営計画では「トリプル4」を目標に掲げている。

 

「4カ年計画で、売上高40億円、経常利益は10%の4億円を目指しています。現状、特殊品は全社売上高の20%程度ですが、50%まで高めることができれば、利益率が高いのでおのずと実現できます。人事考課の見直しなど、達成へのガイドラインも整備を進めていくところです」

 

にこやかに展望を語る佐伯氏は、社長就任以来、3つのスローガンを社員に発信し続けている。

 

「私がやる、協力する、明るくする」。

 

それはものづくりの原点である「次の人(工程)」のことを考え、役割を自覚し、責任ある行動を起こす姿だ。その実践の積み重ねが同社のエアメーションに磨きをかけ、利益経営を実現する道を切り開いている。

 

 

お困り事の解決策を、ユーザーと一緒にトライアンドエラーでつくり上げていきます

明治機械製作所 代表取締役社長 佐伯 直泰氏(右)取締役営業部部長 山田 康二氏(左)

 

 

PROFILE

  • (株)明治機械製作所
  • 所在地:大阪府大阪市淀川区田川2-3-14
  • 創業:1924年
  • 代表者:代表取締役社長 佐伯 直泰
  • 売上高:32億円(2021年3月期)
  • 従業員数:152名(2021年12月現在)
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