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vol.6 海外市場に寄り添う姿勢を
田中 秀憲

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2016年3月号
 
※本コラム「ワールドワイド トレンド」は、アジア編・ヨーロッパ編・米国編の輪番で毎月掲載しています。
 
 
 
日本のお茶は市場を得ていない
 
 
 
 ニューヨークにおいて、「日本が得意とする分野を他国に持っていかれる市場」は少なくない。例えば、お茶である。
 
 
 リラックス効果などに加えて健康ブームもあり、お茶は近年ニューヨークで大人気。コーヒーでおなじみのスターバックスが、紅茶専門店の大手チェーンTEAVANA(ティーバナ)を買収したことも、その人気を裏付けている。
 

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紅茶専門店の大手チェーン「TEAVANA」


 
 
 かつて米国では、甘くない飲料は事実上、市場に存在しなかった。どのような飲料でも甘いものが主流である米国市場において、甘くないお茶を飲むのは日本人や中国人などアジア系の人々のみ。ヨガなどを楽しむ健康志向のごく一部の消費者がハーブティーなどを楽しむ程度であった。
 
 
 そこに登場したのが伊藤園だった。2001年に現地法人を設立し、本格的な市場開拓に着手。徐々にブランドを確立し、シェアを拡大した。現在ではニューヨークの高級スーパーマーケットに同社の製品が並ぶ光景も珍しくない。日本企業の素晴らしい成功事例といえるだろう。
 
 
 ところが、米国のお茶市場を見ると、伊藤園以外の日本企業の名は驚くほど少ない。カリフォルニア州発のArt of Teaや、カナダから進出してきたDavidsTea(デイビッズ・ティー)、富裕層向けの高級品としては、フランスから進出してきたLe Palais des Thés(ル・パレデテ)などが挙げられる。
 
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パリのモンパルナスで生まれた「Le Palais des Thés」。 紅茶はもちろん、ウーロン茶や緑茶など幅広い種類の茶葉を販売している

パリのモンパルナスで生まれた「Le Palais des Thés」。
紅茶はもちろん、ウーロン茶や緑茶など幅広い種類の茶葉を販売している


 
 いずれも比較的新しい企業ばかりであり、日本企業が市場に割り込む隙もあったはずである。にもかかわらず、高品質・高付加価値の製品を生み出している日本企業が極端に少ないのだ。一体、なぜこのような状況に陥ってしまったのだろうか。
 
 

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