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vol.3 TPPとビジネスチャンス 市場開放と「志向解放」
田中 秀憲

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2015年12月号
 
※本コラム「ワールドワイド トレンド」は、アジア編・ヨーロッパ編・米国編の輪番で毎月掲載しています。
 
 
日本のTPP期待度は 企業・消費者とも最下位
 
すでにご存じの通り、10月5日に米国アトランタで開催された12カ国閣僚会合において、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉が大筋合意に達した。今後、各国議会で順調に批准が進めば、2016年前半にも発効する見通しである。 ただ、16年11月に大統領選挙を控えている米国では、合意内容に対する反発の声も根強く、議会の承認手続きが難航することが想定されている。
 
 

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【図表】TPP協定交渉参加12カ国の経済・市場規模(2014年) 出典:世界銀行データバンク(基準年:GDP=2014年、人口=2014年)※1ドル=110円換算(2014年度円相場平均) 出所:内閣官房TPP政府対策本部「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の大筋合意について」より作成


 
 


 
ライバル国が退潮 日本にはチャンス
 
 
TPP参加12カ国のGDP(国内総生産、2014年)合計額は約3100兆円。世界全体の約4割を占める巨大な自由貿易圏が誕生することになる。域内人口(市場規模)は約8億人。これは、世界総人口(約72億人)の1割超に相当する(【図表】参照)。国際通貨基金(IMF)によると、2020年には域内GDPが14年比で24%拡大し、人口も5%程度増える見通しという。チャイナ・リスクという爆弾を抱える世界経済にあって、魅力的な成長市場である。
 
 
 
日本がTPP交渉に参加表明したのは4年前の2011年(野田政権)。交渉に参加したのは2013年(安倍政権)のことだ。そのため、TPPはまだ誕生していない新しい自由貿易圏のように思われているが、実際は2006年にスタートしている。シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国による多国間協定、いわゆる「P4協定」だ。
 
 
 
2010年になって米国と豪州、ペルー、ベトナム、マレーシアがP4協定参加交渉を開始し、2012年にメキシコとカナダが加わった。日本は最後発組。つまり今回の合意は拡大交渉という位置付けである。ちなみに、P4の正式名称は「環太平洋戦略的経済連携協定」(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)で、今回合意したのは「環太平洋経済連携協定」(Trans-Pacific Partnership)だ。どちらも略称は「TPP」のため、区別する意味で前者はP4協定と呼ばれている。
 
 
 
 

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