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vol.17 コミュニケーションの基礎作法
安西 洋之

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2017年2月号
 
インターネットの基礎作法に戻る
 
インターネットが一般市場でスタートしたのは1990年代である。当時、自社ホームページを作ることがインターネット時代に遅れないための第一歩であった。通信方法の主流はファクシミリからメールに変わった。
 
その後、さまざまな流行があり、交流の場もメーリングリストからソーシャルメディアへと変貌を遂げてきた。文章では即時性がないとされ、動画や画像での発信が注目されている。ホームページ不要論も一時語られた。
 
カタカナ広告用語が飛び交い、どこがどうなって広告のお金が動いているのか、業界の外の人間には事情がよくのみ込めなくなってきた。
 
だが、しっかり作り込まれて情報の多いホームページは、今も重宝されている。書きっ放しではない内容のあるブログは長く読まれる。
 
ページビューだけの数値を争い、検索エンジンの上位に上がる技術に長けていることだけが「成功組」ではないことに、多くの人は気付き始めた。
 
こうした状況を鑑(かんが)みるに、戦略的に伝統を考え、その文化的表現を日本語とともに英語ブログで説明し、日本語サイト以上に英語サイトの内容を充実させるくらいの本気度を出せば、海外市場で関心を寄せてくれる人や企業は必ずいる。
 
「それはそうだろう」と軽く思うと間違う。雑貨や家具の世界でこうしたレベルのことができている会社はほとんどない。一般的に英語サイトの内容は、日本語サイトのそれに比較してかなり見劣りする。
 
モノよりもストーリー、モノよりも経験やサービスを含めた全体のデザイン。これらの重要性が盛んに強調されるがために、良いモノを作り、その1つのモノを語り尽くす習慣を忘れてしまったかのような潮流が続いてきた。その結果、1つの良いモノをどう売るかについて考え悩むことは、遅れているとも見られている。
 
だからこそ、いま、もう一度基礎作法に戻り、自社ホームページとブログの英語版を作り込むことを提言したい。
 
まだまだ間に合う海外市場開拓
 
実をいえば、イタリアの企業もコミュニケーションはうまくない。それだけでなく、コミュニケーションの担当部署を社内に置く必要性を感じていない中小企業も多い。それでも市場でそれなりの存在感を出しているのは、長い時間をかけて構築されたイタリアのブランド力によるところが大きいだろう。
 
かつて、日本のハイテク製品であれば苦もなく信用されたのと同じである。だからクールジャパンのような官のバックアップが有効でもあるのだが、官の補助がなくてもできることはたくさんある。
 
イタリア企業のように、コミュニケーションの技術は下手でも自分の考えを言葉にすることをいとわない姿勢に倣えば、「海外市場恐れるに足らず」である。なお、これまで述べてきたことは、雑貨や家具以外の分野でも、王道を進めばまだまだ可能性が広がっていることを示唆している。
 
 


 
 
筆者プロフィール
 
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安西 洋之(あんざい ひろゆき)
モバイルクルーズ株式会社 代表取締役。ミラノと東京を拠点としたビジネスプランナー。海外市場攻略に役立つ異文化理解アプローチ「ローカリゼーションマップ」を考案し、執筆、講演、ワークショップなどの活動を行う。著書に『世界の伸びている中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』(クロスメディア・パブリッシング)など。
 
 
【著作紹介】
『イタリアで、福島は。』 安西洋之著 定価 電子書籍版 460円+税 ╱印刷書籍版 1000円+税 クロスメディア・パブリッシング
 
「Fukushima Food Safety Conference」の企画に関わって安西洋之が感じたこと、考えたこと――。カンファレンスに携わった人へのインタビューとともに、イタリアの人々が思う福島について伝える1冊。

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