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vol.19 成功の鍵は「ニーズと市場の見極め」
三田村 蕗子

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2017年4月号
 
※本コラム「ワールドワイド トレンド」は、アジア編・ヨーロッパ編・米国編の輪番で毎月掲載しています。
 
日系企業のタイ進出の歴史
 
 
19回にわたって続いた本連載。ラストとなる今回は、タイにおける日系企業の成功と失敗を分ける要因について探ってみたい。
 
日系企業のタイ進出の歴史は、おおまかに3段階に分けられる。
 
第1段階である1980年代は、トヨタやホンダ、三菱自工といった自動車メーカーおよびその周辺機器のメーカーなど、製造業を中心とした企業進出の黎明期であった。後に食品や日用品なども進出を果たし、第2段階の2000年代は外食産業を中心とした成長期といえる。日本食ブームが追い風となり、日本食レストランの出店が相次いだ。そして、成熟期を迎えた2010年代の現在はサービス業の進出が盛んな第3段階である。いまや進出していない業種はないと思えるほど、さまざまな日系企業がタイでビジネスを展開している。
 
しかし、これまでもリポートしてきたように、その全てがうまくいっているとは言い難い。日系自動車メーカーがタイの産業の中核として機能していることもあり、製造業は比較的好調に推移しているが、もちろん不調の業種もある。

 
例えば、化粧品メーカー。タイにおける日本の化粧品ブランドの評判は悪くない。品質が良く、安心・安全、タイ人が求める美白効果も高く、高級感があるという評価が一般的だ。
 
だが、その評価が必ずしも売り上げにはつながっていない。理由は、まず値段が高いこと。ほとんどが日本からの輸入品であるため、タイでの価格は日本の価格の2 倍以上になり、タイ人が買い求めやすい価格帯からは大きく外れる。手を出せる客層が少ないのだ。かといって富裕層を狙おうにも、この層は競合が多い。フランスや米国のラグジュアリーブランドが控えているのである。
 
日本のプチプライス(安い価格帯の)ブランドはどうかといえば、韓国ブランドの前では旗色が悪い。韓国人風メイクを好むタイ人女性は非常に多く、この人気に目を付けて、広告宣伝にハングル文字を使ったり、韓国人風メイクを施したモデルを起用したりして、韓国発の化粧品であるかのように演出したタイの化粧品ブランドもあるほどだ。

 
また、韓国の化粧品ブランドが小さいながらも直営店を展開しており、店舗数を増やしている。フェイスショップ、スキンフード、エテュードハウスなどの韓国ブランドは、若い女性であふれるバンコク中心地へ積極的に出店攻勢をかけて知名度を上げた。この戦略が功を奏し、韓国の化粧品を好むタイ人女性はますます増加している。
 

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タイにある韓国の化粧品のセレクトショップ


 
 
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とタイ発の化粧品ブランドの店


 
 
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「韓国発のコスメ」を演出しているタイの化粧品店
 
 

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