TCG Review

サイト内検索

vol.1 グリコ『ポッキー』がタイの菓子になった
三田村 蕗子

1 / 3ページ

fukiko_banner
2015年10月号
※本コラム「ワールドワイド トレンド」は、アジア編・ヨーロッパ編・米国編の輪番で毎月掲載しています。

アジアでブームを起こしている日本食。そのブームはタイのスーパーマーケットにも及ぶ。日本人にとって身近なお菓子『ポッキー』が、なぜタイで人気なのか。ブームの背景に迫る。

 


 
グリコ『ポッキー』がタイの菓子になった
 
日本ブームに沸くタイでは今、さまざまな日本の「食」が氾濫している。
筆頭は外食産業だ。タイにある日本食レストランの数は約2000店と推定され、2014年に新たにオープンした数は420店。閉店した119店を除く純増数は約300店で、1日に1店は新店が誕生している計算になる。
業種はすし、天ぷら、とんかつ、焼き鳥、居酒屋、焼き肉、洋食(日本風)、割烹と多岐にわたる。「ないものはない」といった状況だ。
 

タイにある日本食レストラン。日本でなじみのあるチェーン店もよく見かける

タイにある日本食レストラン。日本でなじみのあるチェーン店もよく見かける


 
 
日本色に染まりつつあるタイの外食産業。そこからスーパーマーケットや量販店の菓子売り場に目を転じてみると、日本製品の強烈な存在感に目を奪われる。現地の邦人がよく利用する店のみならず、タイ人が普段利用する店でも日本の菓子は定番として扱われており、しっかりタイに根差していることがうかがえる。
 
 
森永製菓『ハイチュウ』やロッテ『コアラのマーチ』など、売り場で確固たる地位を占めている日本ブランドの菓子の中で、ひときわ目を引くのが江崎グリコの『ポッキー』だ。売り場通路の中央ではボリューム陳列され、高架鉄道のBTS(バンコク・スカイトレイン)の車両にはラッピング広告が。またテレビCMもよく放映される。グリコのポッキーは、もはやタイの菓子と言っても過言ではない。
 
 
 
タイのスーパーマーケットで売られている、江崎グリコの『ポッキー』。目立つように陳列されていることからも、その人気のほどがうかがえる

タイのスーパーマーケットで売られている、江崎グリコの『ポッキー』。目立つように陳列されていることからも、その人気のほどがうかがえる


 
江崎グリコは現在、海外事業を本格的に展開している。その最初の舞台となったのが、ほかならぬタイだ。同社は1970年、タイに現地法人「タイグリコ」を設立し、ポッキーや『プリッツ』の現地生産を開始した。ここでつくられた菓子はシンガポールやマレーシアなど、近隣諸国にも輸出されている。タイは東南アジアの拠点という位置付けにある。
 
 
ポッキーやプリッツはタイで販売されて40年以上にもなり、タイ人の嗜好に合わせて味がローカライズされている。例えば、ポッキーの味のバリエーションは、赤い箱のスタンダードに加え、イチゴ味、抹茶味、クッキークリーム味、チョコバナナ味、チョコリッチ味(濃厚なチョコ風味)など8種類。そのうち基幹アイテムはスタンダード、イチゴ、チョコリッチ、クッキークリームだが、注目に値するのは抹茶とチョコバナナである。
 
 
日本では、アジア系の観光客が『キットカット抹茶味』(ネスレ日本)を求めて売り場に殺到するニュースが、テレビ・雑誌で報道されている。それと同様に、タイでも抹茶は愛されているフレーバーだ。だが、ここではチョコバナナに注目したい。というのも、バナナフレーバーの菓子は今、タイでちょっとしたブームになっているからだ。
 

1 2 3