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新しい人づくりモデル「企業内大学」に挑戦しよう
生産性と働きがいが向上する「全員活躍」のすすめ
タナベ経営 若松 孝彦

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2017年11月号

日本の1人当たりの労働生産性(2015年)は、OECD(経済協力開発機構)加盟35カ国中22位。1位のアイルランドの半分以下、3位の米国の6割程度にすぎません。20位イスラエル、21位ギリシャ、そして22位が日本。天然資源が乏しい日本は、人こそ財産であり競争力の源泉――と思っていたのは昔の話。日本企業はこの現実を直視し、人材の働き方、働きがい、そして生産性と真正面から向き合う必要があるのです。

 
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「働き方改革」は「学び方改革」から始まる
 
働き方を抜本的に改革して長時間労働の抑制を図る動きが活発化しています。労働時間の短縮は生産性を向上させることが絶対条件になります。ただし、これらは国の政策以前に、民間企業の積極的な取り組みが大切なのです。タナベ経営創業者の田辺昇一も「生産性なくして分配なし」と言っていた通り、生産性を高めない限り社員に分配できません。労働時間を短縮するには、単純なコストカットや時間削減ではなく、生産性の向上が不可欠です。
 
ところが近年、日本の労働生産性が振るいません。日本生産性本部が発表した2015年のデータでも、OECD 加盟35カ国中22位(7万4315ドル)。1位のアイルランド(15万3963ドル)の半分以下、3位の米国(12万1187ドル)の6割程度にとどまっています。しかもイスラエル、ギリシャより低いのです。国際競争力を高めるためにも、生産性の向上は必須です。
 
働き方改革と生産性向上を両立させるキーワードは何か。それは「全員活躍経営」に他なりません。イキイキと活躍する社員の数が多いほど、職場環境が整備され、生産性も高まるのです。ある一部の部門や人材で生産性を上げているようでは、組織の生産性は二極化して全体の生産性が上がりません。
 
私は労働分配率を「プロ化比率」と呼んでいます。随所に主となれる非凡なプロ人材の数が増え、彼ら・彼女らが活躍できる組織へ近づくほどに付加価値が高まり、労働分配率も改善するからです。労働分配率は、人件費を下げれば一時的に改善しますが、それでは持続しません。社員一人一人が学び、成長し、活躍する組織を目標にするのです。現在は、人材やチームに対する考え方が180度変わっているのです。
 
そのためにも、財産である人材の「学び方」から改革し、各人の潜在能力を引き出し、活躍できるチームをつくる。そうしたチームに投資し、職場環境を整備する戦略が求められています。これが、日本の中堅・中小企業の生産性を高める重要なアプローチなのです。
 
世界ナンバーワンの総合モーターメーカー・日本電産の永守重信氏は、「機械に設備投資をすると生産性は1.5倍程度になるが、人に投資すると生産性は2倍、3倍に高まる」と言っています。人材投資によって組織生産性は飛躍的に高まります。新たな価値観へ組織全体が向かっていくべき時なのです。
 
 

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