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アカデミーで技術力と人間力を育み、「No.1サウンドカンパニー」へ
ヤマハサウンドシステム × タナベ経営

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2021年5月号

 

 

タナベ経営 経営コンサルティング本部 本部長代理 盛田 恵介
タナベ経営入社後、セミナー責任者を経てコンサルティングに携わる。2021年より、東京HRコンサルティング本部本部長代理兼人材育成研究会リーダー。人づくりをデザインする総合プロデューサーとして、中堅・中小企業の人事・育成制度構築から運用に至るまでサポートし、中でもさまざまな業種・業態の企業内大学設立に実績を有する。

 

 

ヒト・オト・モノ・コトからYSSらしさを磨く

 

山越 YSSの人づくりとブランディングについて伺います。まず、武田社長がYSSに赴任した際の課題を教えてください。

 

武田 「トップダウンが強すぎる」と感じました。2社が合併してできた会社なので、トップダウン強めでスタートするのは当然だと思いますが、設立後10年が経過しているので、もっとボトムアップを強めていかねばと思いました。社員がワクワクしながら、自主的に仕事に取り組める環境に変えていかないと事業の成長は望めませんからね。

 

そこで、ボトムアップ体制への転換を促進する第一歩として「ミドルアップダウン・マネジメント」を宣言し、マネジメント改革に着手。部長・課長研修をこまめに実施しています。その結果、当事者意識を強く持って会社を支えなければならないという使命感が芽生えました。

 

山越 そのような経験から「YSSアカデミー」の設立を決意されたわけですね。人づくりに対する方向性をお聞かせください。

 

武田 物件ごとに顧客ニーズに対応したオーダーメードビジネスを展開する当社にとって、一番大切な経営資源は人材です。それなのに教育研修体制がほとんど整備されていませんでした。教育プログラムもなかったし、ヤマハグループの研修にもわずかなコースしか参加していなかったのです。会社の求める人材像に沿った教育研修体制の構築が急務でした。

 

そのような状況で参加したタナベ経営のセミナーで、三和建設(大阪府大阪市)や加和太建設(静岡県三島市)の事例を知り、「人材育成という課題を解決するには、アカデミーしかない」と霧が晴れた思いでした。

 

当時から、社員教育には「技術力の向上」と「人間力の向上」の2つのコースが必要だと考えていました。社員は「当社の特長は技術力」と胸を張りますが、「教育のほとんどはOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で施す方針だが、多忙で手が回らない」というのが実情で、人間力に関してはほとんど教育できていない状況でした。アカデミーを開校・運営するとそのような課題が一気に解決できると確信したのです。

 

山越 YSSアカデミーにはどのような特長があるのでしょうか。

 

武田 YSSアカデミーは、業界・顧客の理解やビジネススキルなどを習得する「ヒト学部」、音響知識などを習得する「オト学部」、商品知識や設計・施工技術などを習得する「モノ学部」、営業やマーケティング、保守などを習得する「コト学部」の4学部で構成されるのが大きな特長です。Web講座、集合研修、OJTによってデジタルとリアルの両面から学ぶことができます。

 

山越 他社のアカデミーは部門ごとに学部を設けるケースが多いのですが、YSSアカデミーは部門横断的な構成になっています。そこからどのような効果を期待していますか。

 

武田 どの会社にも部門の壁が存在し、OJTではどうしても部門ごとの教育になってしまいがちです。それに対してアカデミーは部門の枠を超えた教育ができると期待しています。

 

実は、2020年に実施した従業員満足度アンケートで、一番満足度が低かったのは「教育制度」でした。さらに「他部門とのコミュニケーション」も満足度が低かった。アカデミー開校を目指すプロジェクトには異部門のメンバーが集まって議論を重ねていますから、教育制度の改善と同時に他部門とのコミュニケーションも活性化すると期待しています。

 

ちなみに今回のアカデミープロジェクトは、社員11名が参加して10カ月を費やすという大掛かりなものでした。このプロセスはメンバー一人一人の学びに直結すると思います。

 

山越 YSSアカデミーを含めて外部への発信を有効活用していると感じます。ブランディングに対する考えをお聞かせください。

 

武田 当社の事業は、大量の商品を多くのお客さまに販売するのではなく、一品受注生産ビジネスです。お客さまとの契約段階では、図面と積み重ねた実績しか選択要素がありません。お客さまから選ばれ続ける存在になるためには、「ホール音響と言えばYSS」と真っ先に思い浮かぶようなファーストコールカンパニーになる必要があるのです。そのためにはブランディングが不可欠になります。

 

ところが、当社は今までの豊富な納入実績を外に向けてアピールしていませんでした。そこでマーケティング部を発足し、お客さまから選ばれるための戦略立案に取り組んでいます。

 

また、ブランディングは「価格競争の回避」にも効力を発します。コロナ禍で仕事が減ると、1つの物件に競合が群がって値段のたたき合いを始めるのが世の常です。しかし、「音にこだわる会社」というブランドが浸透し始めると、競合よりそこそこ高い価格でも受注できた事例も生まれました。ブランディングを通して「普通の建設会社ではない」というコミットメントを訴求し、それを実現できるように社員教育や組織風土の改革を含めたインナーブランディングを推進していく――。そして最終的にファーストコールカンパニーの座を確保したいと思います。

 

 

タナベ経営 経営コンサルティング本部 山越 拓也
タナベ経営に入社後、建設業界を中心に企業内大学(アカデミー)づくりや人事制度構築など「人材」に関するコンサルティングを展開。「クライアント視点に立脚したコンサルティング」をモットーに、計画立案から実行推進、フォローまでのきめ細かい対応でクライアントから厚い信頼を得ている。

 

 

 

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