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ロジスティクスフォーラム2020

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2020年8月号

 

 

ロジスティクスフォーラム アンケート結果

※ロジスティクスフォーラム参加者へWebアンケートを実施(回答数60名)

 

 

競争から共創へ
持続可能な物流をつくる

 

 

タナベ経営は2020年5月28日、オンラインセミナー「ロジスティクスフォーラム」を開催した。当日は227名の経営者や企業幹部、物流担当者らがライブ配信を視聴し、持続可能な物流体制構築のための知見を学ぶ一日となった。

 

 

持続可能な物流体制の構築へ

 

労働力不足、低い生産性、単独改善の限界—。物流業界を取り巻く3大課題を解決するため、物流業界では今後、“商品では競争”し、“物流では共創”することが不可欠になる。

 

共創を進める上では、同業者や他業種との連携による「水平の共創」、サプライチェーン全体との連携による「垂直の共創」という二つが必要だ。(詳細は本号コンサルティング メソッド記事を参照)

 

フォーラムでは冒頭、物流経営研究会リーダー・土井大輔が「物流が止まると世の中は止まる。コロナショックは、持続可能な物流の構築が、生活を守ることに直結すると再認識する機会になった」と言及。さらに「自社のミッションとビジョンに基づいて判断し、進めていけば必ず正解にたどり着ける」「最大の敵は『評論発言』『予定調和』『前例主義』。ゼロベースでスピードを優先しながら、新しい事実をつくっていこう」と呼び掛けた。

 

続いて、トラスコ中山、味の素のゲスト講師陣が講演。ライブ配信形式の開催となった当日は講義後、チャット機能を使った質問が参加者から多く寄せられるなど白熱した展開となり、持続可能な物流実現に向け、自社で何をすべきか検討する有意義な機会となった。

 

 

 

ゲスト企業講演1

トラスコ中山のリアル
~未来を見据えた物流戦略~

 

講師:トラスコ中山(株)
   取締役 物流本部 本部長
   直吉 秀樹氏

 

2020年で創業61年目を迎えた当社は、製造業向けの工具・消耗品を扱う卸売企業。全国に100カ所の事業所、26カ所の物流センターを構え、顧客への即納を追求している。

 

「がんばれ!!日本のモノづくり」をコーポレートメッセージに掲げ、「問屋を極める、究める」方針のもと、取り扱いメーカー・商品・在庫拡大、物流・情報システムの強化拡充など、問屋業の深掘りを進めてきた。

 

特徴は、約40万アイテムという業界ナンバーワンの在庫数。在庫は成長のエネルギーであり、在庫の拡充が売り上げ拡大につながっている。在庫回転率などの効率性も重要だが、当社では顧客の利便性や在庫ヒット率(自社在庫からの発送確率=即納に直結)を重視している。

 

2018年には埼玉県に、50万アイテムの在庫保有可能な大規模物流センターを新設。自動化、省力化のための最新鋭設備を取り入れている。

 

売上高3000億円の実現に向け、想定される作業量増加への備えが欠かせない。持続可能な物流を考える上でも人的負荷の軽減はセットで実行すべき。長時間に及んでいる残業時間をいかに減らすか(=生産性向上)が目下の課題となる。

 

また、当社では「物流とITは経営の両輪」と考え、積極的にIT活用を進めている。しかしながら、物流の自動化だけでは効果は限定的。ITによる自動化とともに、業務プロセスを変え、前後業務を見直すことが重要になる。

 

物流は全産業にとって血液と同じ。物流が止まるとモノづくり、経済は死んでしまう。当社の代替は他社ではきかないので、何があっても物流を止めない。そのためにも持続可能な物流体制構築が急務である。

 

 

 

ゲスト企業講演2

持続可能な加工食品物流を目指して

 

 

講師:味の素(株)
   上席理事 食品事業本部 物流企画部長
   堀尾 仁氏

 

2015年、加工食品業界では持続可能な物流体制構築に向け、味の素をはじめとする6社(カゴメ、日清オイリオグループ、日清フーズ、ハウス食品グループ本社、Mizkan)で「F-LINEプロジェクト」を発足。①共同配送(2016年北海道、2019年九州)、②共同幹線輸送(2016年北海道向け)、③製配販課題(業界全体の課題)の解決に取り組んできた。

 

PJでは「競争は商品で、物流は共同で」を基本理念に、より効率的で安定した物流力の確保と、食品業界全体の物流インフラの社会的・経済的合理性を追求。実際、PJを通じた共同配送により、作業性向上や荷積み・荷下ろし時間削減などの成果を上げている。さらに、納品伝票の統一、共配稼働マネジメントの標準化など効率化への取り組みを推進。全国展開を見据え、2019年にはF-LINE株式会社を設立した。

 

ハード面に加え、ソフト面の取り組みも推進中だ。2016年からは6社にキッコーマン食品、キユーピーを加えた8社で、SBM会議(食品物流未来推進会議)を実施し、手待ち時間、付帯作業、納品方法など製配販の課題(業界共通課題)の解決に向けた討議を進めている。特に、外装表示の標準化、賞味期限の年月表示化により作業性が向上。荷待ち時間、納品時付帯作業の定義明確化についても現在討議を進めているところだ。SBM会議のほかに、行政を交えた「持続可能な加工食品物流検討会」「加工食品物流における生産性向上及びトラックドライバーの労働時間改善に関する懇談会」に参画し、全体最適の視点で検討・実証を進めている。

 

「持続可能な食品物流」をつくるためには、「配送業者に選ばれる荷主」になり、食品物流を「選ばれる職種」にしなければいけない。物流改革は待ったなし。垂直・水平連携を通じて物流革命を起こし、「持続可能な加工食品物流」(ホワイト物流)を創り上げ、物流現場の景色を変えていきたい。