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建設イノベーションフォーラム2019

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2019年11月号
 
 

上から、鹿島建設 建築管理本部 建築技術部長 小松 淳氏、三和建設 代表取締役社長 森本 尚孝氏、加和太建設 代表取締役社長 河田 亮一氏


 
 
左から、タナベ経営 建設ソリューション成長戦略研究会リーダー 竹内 建一郎、タナベ経営 執行役員 齋藤 正淑

左から、タナベ経営 建設ソリューション成長戦略研究会リーダー 竹内 建一郎、タナベ経営 執行役員 齋藤 正淑


 
 

タナベ経営は9月6日、「建設イノベーションフォーラム2019」(会場:野村コンファレンスプラザ日本橋=東京都中央区)を開催した。市場の縮小、深刻化する人材不足、コスト過当競争などの課題を抱える建設業界で勝ち残るためのビジネスモデル革新について、経営者らが貴重な提言を行った。会場には99社150名の受講者が集い、熱心に耳を傾けた。

 
 

建設業のビジネスモデルイノベーションに必要な3要素

 
フォーラム冒頭の基調講義では、タナベ経営の建設ソリューション成長戦略研究会リーダー兼大阪本部長・竹内建一郎が登壇。竹内は、今後予測される建設投資市場の縮小や、人口減・高齢化・採用難による人材不足といった課題を踏まえ、重要なのは選ばれる企業になることであるとして、顧客や働き手などの「人が集まる企業づくり」を推進するよう提唱した。
 
そして、そのために必要な3要素として、①「イノベーション」(10年先の市場を見据えたビジネスモデル革新)、②「ブランディング」(何で選ばれるか=事業力)、③「人材戦略」(社員を定着させる採用・育成とケア)を挙げ、他社が簡単にまねのできない企業基盤を構築すべきと述べた。
 
 

建設の生産プロセスをイノベーションする
「鹿島スマート生産ビジョン」

 
続いて、3名のゲスト講師による講義を実施した。
 
1番目の登壇者は、建設業界のリーディングカンパニー、鹿島建設(東京都)建築管理本部建築技術部長・小松淳氏。人材不足への対応や働き方改革の実現に向けて、建築工事に関わる生産プロセスを変革し、生産性向上を目指す「鹿島スマート生産ビジョン」について説明を行った。
 
このビジョンのコンセプトは、①ワーク「作業の半分はロボットと」、②マネジメント「管理の半分は遠隔で」、③エンジニアリング「全てのプロセスをデジタルに」の三つ。ICTを活用したロボット技術の開発と現場管理手法の革新を進め、現場の負担を減らすことによって、安全性・生産性の高い建築生産プロセスを業界全体で実現していきたいと、小松氏は抱負を語った。
 
 

市場で選ばれるためのブランディング

 
2番目に登壇したのが、三和建設(大阪市)代表取締役社長の森本尚孝氏である。同社は創業72年、売上高106億円(2018年9月期)、社員数144名の総合建設会社。自社ブランドとして、食品工場建設に特化したブランド「FACTASR」、オーダーメード型特殊倉庫建設のブランド「RiSOKO」、オンリーワンの資産価値を高める集合住宅ブランド「エスアイ200」を展開している。
 
森本氏は、「価格競争に陥ってしまうのは、価格以外の判断軸を顧客に提供できていないから。『価格以外で選ばれる理由』をつくることがブランディングである」と語り、全国に約2万社ある中小建設会社の中から選ばれる企業になる手段としてのブランディングの重要性を述べた。
 
 

建設業の魅力を発信、アカデミーを創設し人材育成

 
3番目の登壇者は、加和太建設(静岡県)の代表取締役社長・河田亮一氏である。同社は創業73年、売上高137億円(2018年12月期)、社員数285名(2019年8月時点)の建設会社。建築・土木に軸足を置きながらも、不動産事業や施設運営事業などを多角展開している。
 
河田氏は、「まちづくりへの取り組みが地域貢献と事業拡大・差別化につながる」とし、建設業を再定義して建設業の魅力を発信。企業ビジョンをつくり、事業戦略・人事戦略を設計して、社内に小さな成功体験を積み重ねることによって変革を続けている。
 
また、働き方改革支援制度を導入し、さまざまな働き方ができる環境を整備。さらに、企業内大学「加和太アカデミー」を創設し、「自らの意志で人生を切り開くことができる人」の育成にも努めている。
 
ゲスト講師3名の講義終了後、タナベ経営の執行役員・齋藤正淑が総括を行った。
 
齋藤は「市場環境(人口減・少子高齢化、建設需要減)、経営環境(コストアップ・人材不足・消費税増税)、競争環境(異業種参入、新分野創出)、どの環境を鑑みても、誰もが儲もうかる時代は終わった。顧客から選ばれる建設会社になるため、イノベーションを推進することが大切。意志ある会社には未来への道が開く」とフォーラムを締めくくった。