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Vol.10 適度な距離を保ち、仕事以外の交流を

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2020年6月号

 

 

寂しさの理由

 

入社間もない方や、年齢の若い方のカウンセリングをしていると、高い確率で「寂しい」とのフレーズを耳にします。何に対して寂しいのかを聞くと、組織の一員としての「つながり」を会社の中で感じられないことに対してだと言います。

 

社内でいわゆる「アフターファイブ」の付き合いがないため、仕事以外の深い話をしたことはなく、互いのことをよく知らない。ましてや仕事中に自分の思いを話す機会もなく、同僚や上司と親しくなれない。そのため心理的な距離を感じ、話し掛けることにすら勇気がいるとのことです。

 

要するに、職場で気軽に相談できる相手がおらず、何か困ることや分からないことがあっても尋ねること自体を躊躇してしまい、取り残されたような気持ちになっているのです。

 

このような状況の背景には、ワーク・ライフ・バランスを重んじる昨今の傾向に、職場が大きな影響を受けているという要因がありそうです。仕事とプライベートをきっちりと分ける志向が社会的に強まり、勤務時間以外で仕事に関することに時間を拘束されたくないとの声を聞くにつけ、部下を会食やイベントに誘いにくいと思うリーダーは多いようです。

 

また、「こちらはそのつもりはなくても『パワハラ』とでも言われたらかなわないから、誘えない」と、嘆きとも諦めとも取れることをおっしゃる方もいます。確かに、仕事以外の付き合いはご法度のような印象をお持ちの方は多いでしょう。しかし、カウンセリングをする中で「上司に飲みに誘われること」について質問すると、8割方の人から「誘ってほしい」との回答があります。

 

「自分のことを知ってもらいたい」「現場(仕事)のことを知りたい」という二つの理由からです。職場では、なかなか自分の思いや考えを伝える機会がないためです。また、「上司のことも、これからの仕事のことも知りたい」と思っています。ロールモデルを求める気持ちが強いのです。

 

ここで大切なのは、寂しいと感じている社員はただ飲み会に参加したいわけではなく、対話の時間を欲しているということです。ですから、場を設ける際は、「部下との相互交流の場」としての認識を持ち、武勇伝を語ったり、一方的に説教をしたりするのはやめましょう。

 

また、アルコールやタバコの煙が苦手な方も多くいますので、お店の選定をする際の配慮も必要でしょう。場合によっては、お茶をするだけだったり、ランチタイムを利用したりすることもお勧めします。普段のやりとりや関わり方も必要以上にためらわず、しかし、配慮をもって声を掛けることを意識してください。

 

すでに上司や先輩との関係性が悪化している場合、交流の場に誘っても「行きたくない」と拒否されるケースもあります。そういった社員からは「こちらの言い分に耳を貸さず、話を聞いてくれない」「要望に対して応えないばかりか、理由も教えてくれない」との訴えが多く、分かり合えない相手とわざわざ関わりたくないとの思いが聞かれます。しかし、いずれにしても、「話をする場」「きちんと向き合う場」を部下が必要としていることに変わりはありません。

 

 

 

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