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vol.7 小さなデザインと大きなデザイン
安西 洋之

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2017年11月号
 

連載第1回目(2017年5月号)にも書いたように「Made in Italy はモノやサービスの意味を与える(変える)のが得意」である。ミラノ工科大学でイノベーションを教えるロベルト・ベルガンティ教授が語る内容を中心に考察を深めたい。

 


 
 
スタイリングと「意味のイノベーション」の関係を探る
 
Made in Italy の存在感がデザインで語られることは多い。「イタリアらしい色使い」「奇抜な形状」「大人のムード」「発想の独自性」とさまざまに形容される。
 
現在、デザインは色や形のレベル(「小さなデザイン」と称する)だけでなく、経営や社会、文化までを対象(「大きなデザイン」と称する)に広がっているが、冒頭の形容は主に小さなデザインを指している。
 
大きなデザインは、スカンジナビア諸国の行政や市民が参加する街づくりなどのプロジェクトでメディアに取り上げられることも多い。一方、イタリアのデザインは「小さなデザインを得意としており、大きなデザインにはあまり積極的ではない」と評される傾向にある。
 
しかし、この評価は必ずしも適切ではない。イタリアでは大きなデザインを、デザインとして語らないことが多いからだ(例えば、新しい食のライフスタイルをつくったスローフード協会は、デザインという言葉を使わない)。また、小なデザインを「単に色や形を決めることでしょう」と、あたかも低次元の作業と理解すると大きな思い違いをする。注意すべきなのは、デザインの手法が規模の大小で変わるのではなく、対象によって変わるということだ。
 
結論を先にいえば、イタリアの小さなデザインは大きなデザインを逆に包括している傾向がある、と考えたい(「神は細部に宿る」との言葉を想起させる)。それには「デザインとは対象に意味を与えることである」という基本の意義を忘れてはいけない。
 
今回はロベルト・ベルガンティ教授の言葉を用いながら、「Made inItaly はモノやサービスの意味を与える(変える)のが得意」という論を展開したい。
 

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