TCG Review

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Vol.20 言葉や消費行動の先を想像する

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2021年6月号

 

 

高級ブランドだけを希求しない

 

最後に、ベイン・アンド・カンパニーが2020年11月に発表したリポートにおいて、ラグジュアリー市場を「私たちはもうこの分野を高級品とは呼ばない」と記したことへ対する感想を聞いた。

 

「抜け目のない言葉だ。人々はラグジュアリーとは少々暗部のある世界だと思っている。エリートやエスタブリッシュメントとひも付いているからだ。しかし、当のエリートはわざわざ世界の中の1%であると見られる必要がないため、若い世代なら高級時計やバッグをたまに買いながら、コンバースのようなストリートファッションブランドのパンツやTシャツも着るはずだ」(スクエア氏)

 

あまり目立たない風体でいるのが格差社会では安全であるとの理由もあるだろう。しかし、何よりも米国社会の中で高級ブランドとアイデンティティーの距離が非常に遠くなっていることを実感させる意見だ。高級ブランドのロゴを希求する人が多い中国市場の傾向と、他の先進国の市場の傾向には大きな乖離がある。その一方で、中国にも自国文化に基づいたクラフト的なラグジュアリーへの機運もある。ラグジュアリーという分野をいかに多角的視点で見続けるか、それ自体が今後の大きな課題かもしれない。

 

 

※強い権力を持つ勢力が確立した制度や体制

 

 


 

 

筆者プロフィール

モバイルクルーズ ㈱ 代表取締役
安西 洋之(あんざい ひろゆき)
ミラノと東京を拠点としたビジネスプランナー。海外市場攻略に役立つ異文化理解アプローチ「ローカリゼーションマップ」を考案し、執筆、講演、ワークショップなどの活動を行う。最新書籍は『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?』(晶文社)。

 

 

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