TCG Review

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Vol.18 ラグジュアリーを探求し続ける

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2021年4月号

 

 

「ラグジュアリーの新しい意味」を探る上では、若い人たちの動向や考えが示唆に富んでいる。
新しいラグジュアリーとファッションの在り方を探るシンクタンクの創業者が、インタビューに応えてくれた。

 

 

「ラグジュアリーの新しい意味」の輪郭が明瞭になった

 

本連載を始めた当初、「ラグジュアリーの新しい意味」を探ることを目標にしたものの、それが誰のために、どのように役立つか具体的なイメージが欠けていた。日本の大企業と地方の中小企業の両方に貢献する確信はあった。しかし、漠然とした輪郭しか描けていなかった。その時はさほど自覚していなかったが、今にしてそう思うのである。

 

その輪郭が明瞭になったのが連載14回目だ(2020年12月号)。インドの刺繍工場を率いながら、新しいバッグの開発と販売に乗り出したスイス企業のイタリア人ディレクター、ジュリア・ラッケンバック氏と話した。彼女は高級ブランド企業に勤めた後、イタリア・ミラノのボッコーニ大学でラグジュアリーマネジメントを体系的に学び、新たな道を歩み始めていた。大学で同じような志を持った同級生と出会ったことが彼女の財産になっているという。

 

彼女より前に取材(連載13回目、2020年11月号)したインドのビジネススクール「SPジャイン・スクール・オブ・グローバル・マネジメント」ラグジュアリーマネジメントコースのディレクターであるスミタ・ジェイン氏から、「インド文化をベースにした新しいラグジュアリービジネスをスタートしようとしている学生がいる」と聞いていた。それまで、研究者やビジネスパーソンからも「ラグジュアリーの新しい意味を探る動きがある」と耳にしており、若い人たちの動向には興味があった。

 

そのため、ラッケンバック氏が手掛けている、イタリアのラグジュアリー分野のテキスタイルとインドの刺繍の技術を掛け合わせた製品の開発・販売の目新しさにはピンとくるものがあり、「このあたりをもっと掘り下げよう」と思った。

 

ラッケンバック氏は30歳前後の女性だ。数年以上の社会経験を積み、物事の質に興味を持ち、例えば「ラグジュアリーってなんだろう」と自問自答しながら自分の歩む方向を定める年齢である。私はこの世代の人たちを探っていくと、新しいうねりがよりリアルに浮かび上がってくるに違いないと想定した。

 

しかし、そうした人たちが、何を考え、どのようなことを実行に移しているのかもっと知りたいと思ったものの、情報は簡単に見つけられなかった。

 

 

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