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Vol.12 ラグジュアリービジネスは文化ビジネス

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2020年10月号

 

 

欧州各国の大学には修士レベルでラグジュアリーのマネジメントを教えるコースがある。連載第5回目(2020年3月号)で紹介したイタリアのミラノにある名門経済大学、ボッコーニ大学もそうだ。今回はこのエグゼクティブ・ラグジュアリー・コースの責任者であるガブリエッラ・ロイヤコノ氏の話を紹介しよう。

 

 

ボッコーニ大学 ガブリエッラ・ロイヤコノ氏

 

 

国際化を図る独自のプログラム

 

ラグジュアリーマネジメントを講義する授業は20世紀後半にもフランスの大学ですでに見られたが、より本格化したのは21世紀に入ってからである。ボッコーニ大学の場合、MBA(経営学修士)のカリキュラムの「ファッションマネジメント」や「デザインマネジメント」といった科目の中でラグジュアリーを取り扱ってきた。

 

フルタイムのMBAとは別に、社会人向けにラグジュアリーをパートタイムプログラムとして独立させたのが4年前のことである。ファッションだけでなく、幅広い領域(例えば、自動車やヨット、ワイン、ホテル、飲食業など)に対象が広がったラグジュアリービジネスの需要に合わせた形だ。

 

ボッコーニ大学では、このパートタイムコースを導入した結果、フルタイムでMBAを学ぶ学生の平均年齢が20歳代後半であるのに対し、ラグジュアリーマネジメントを学ぶ学生の平均年齢は30歳代後半となった。

 

学生の4分の3程度は同大学学部か修士課程を卒業しており、出身地はおよそ30の国・地域とさまざまだ。

 

ボッコーニ大学では、これまでに培ってきた企業や卒業生のネットワークを活用しながら、同校オリジナルの学習プログラムを組み始めている。

 

例えば、学生と学ぶ場の国際化が挙げられる。学生たちはイタリアのミラノやローマ、英国のロンドン、フランスのパリ、インドのムンバイなど、複数の国の生産や販売の現場を徹底して観察することがベースになる。

 

2019年のイタリア国内研修では、宝飾品のブルガリやファッションのブルネッロクチネッリ、ワインのアンティノリなどへ企業訪問を行った。2020年はパリにあるカルティエ財団で1週間、ラグジュアリーとアートの関係を学び、ロンドンではホスピタリティーを教えるドルチェスター・コレクション・アカデミーで研修する予定だ。また、経営コンサルティング会社であるボストン・コンサルティング・グループやベイン・アンド・カンパニーと、特定企業の商品企画や販売などをシミュレーションする演習を行うカリキュラムが組まれている(2020年7月現在)。

 

さて、ここで私がまず知りたかったのは、このコースがどのような企業の仕事に貢献するかである。欧州の有名ブランド企業だけなのだろうか?

 

 

※ホテルチェーン「ドルチェスター・コレクション」が経営する、ホスピタリティーの教育機関

 

 

 

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