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vol.12 <最終回>タナベ経営 MP本部

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2016年9月号
 
地方は人口流出に歯止めを掛けよ
 


■ 地方経済の業況
 
地域企業の景況感が全国的に停滞を強めている。日本銀行が7月に発表した「地域別業況判断DI(全産業)」によると、企業の景況感を示す業況判断DI(「良い」-「悪い」)が全9地域中、北海道を除く8地域で前回(2016年3月)から悪化。その数も2地域増えた(前回は6地域で悪化)。
 
悪化幅が最も大きいのは、熊本地震の影響が出た「九州・沖縄」(前回比9ポイント減のプラス5)。次いで「四国」(同5ポイント減のプラス4)、「中国」(4ポイント減のプラス6)が続く。先行き(9月)についても、横ばいの九州・沖縄を除く8地域で悪化。特に「近畿」「北陸」「東海」がマイナスに転じるなど、厳しい見通しになっている。
 
日銀は7月の『地域経済報告(さくらレポート)』で、九州・沖縄と中国を除く7地域について「景気の改善度合いに関する判断に変化はない」としたが、これは英国のEU離脱(ブレグジット)に伴う円高・株安の影響を織り込んでいない。中国経済の減速やインバウンド消費の鈍化なども相まって、先行きの不透明感は強まっていくとみられる。
 


■ 日本人の10人に1人が“東京都民”
 
地方創生の成否の鍵を握るのが「人口流出の阻止」である。が、現状は「東京一極集中」に歯止めが掛かっていない。
 
住民基本台帳人口(2016年1月1日時点、総務省調べ)を見ると、日本人の人口は約1億2589万人と7年連続で減少。前年からの減少数は約27万人と過去最大だった。一方、三大都市圏(東京圏、名古屋圏、関西圏)は6449万人と過去最高で、特に東京都は1297万人と前年から9万人近く増えた。日本人の10人に1人は“東京都民”となる計算だ。
 
ただ、こんな動きもある。UJIターン(※)を支援するNPO法人ふるさと回帰支援センターが2016年2月にまとめた調査結果によると、2015年に東京で受け付けた移住相談件数は2万1584件に上り、前年比73.6%増と大幅に増えた。移住希望者の年代別構成比を見ると、20代以下と30代が合わせて44.8%に達し、前年比12.2ポイント増と大きく上昇した。
※ 大都市圏の人が地方に移住する動きの総称。出身地に戻るUターン、出身地に近い地方都市へ移住するJターン、出身地以外の地方へ移住するIターンを指す
 
地方から都市圏へ人が流れる構図は続いている。しかし、地方移住を望む都市圏の若年層が増えていることも確かなようだ。
 

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