TCG Review

サイト内検索

vol.9 タナベ経営 中国地方

1 / 1ページ


2016年6月号
 
独自性を生かした中国地方創生の鍵
 
 

■ 中国地方の産業


中国地方は、瀬戸内海側を中心に鉄鋼、石油化学、電気・電子機器、自動車など日本を代表する産業が発展し、大手企業と中堅・中小企業が連携しながら経済を牽引(けんいん)している。製造業ではいち早くグローバル展開を行った企業も多い。


中国地方の製造品出荷額は中部圏、首都圏、近畿圏に次いで4位だが、従業員1人当たりの出荷額(2012年)は全国1位である(国土交通省中国地方整備局『中国地方の現状』2014年1月)。


また、山陽地方を中心に、中国地方にはオンリーワン・ナンバーワン企業が立地しており、独自の高い技術で国内トップシェア・世界トップシェアを誇る企業も多い。



■ 中国地方の抱える不安要素


中国地方5県平均の県内総生産(名目)の伸び率は平均約1.7%と、全国平均の1.9%を下回っている(内閣府『平成25年度 県民経済計算』)。海外生産の進展や大手メーカーの生産拠点の閉鎖・集約化により、地方の生産拠点としての役割が低下傾向にあることも影響しているのだろう。


また、高齢化問題が深刻である。『平成27年版高齢社会白書』(内閣府)によると、中国地方の高齢化率は全国平均(26.0%)より高い28.8%。中でも島根県、山口県においてはそれぞれ31.8%、31.3%と30%を超える高い割合を示しており、他県に比べ早く高齢化を迎えている。


企業においては、後継者不足の問題が挙げられる。帝国データバンクの『中国地方 後継者問題に関する企業の実態調査』によると、中国地方の後継者不在率は71.5%と全国平均(65.4%)を上回り、全国9エリアで北海道に次いで2番目に高い。


このように、不安要素を抱える中国地方だが、今後の成長のため、どのような取り組みが求められるのだろうか。



■ 独自性の発揮


これまで、優れた技術力やノウハウで独自性を追求して成長してきたことを生かし、新たな成長分野(医療、環境・エネルギー、先進対応自動車や、農水産物の6次産業化)への取り組みを進めることが今後のチャンスといえよう。


そのためにも、自社の事業戦略を今一度見直してほしい。見直す際の着眼点は3つある。


1点目は、「やめるものはないか」という着眼である。たとえ黒字であっても顧客の価値につながっていない商品・サービスがあれば、思い切ってやめてみる。やめることで生まれた経営資源を、強化したいところに集中すれば、新たな付加価値を創出することができる。


2点目は、「独自性(強み)を生かした新たな取り組み」だ。脱価格競争を目指すためには、現在の独自性(強み)を生かし切り、その上で新たな価値をつくり出すことが重要である。これが実現すれば、第2、第3の事業の柱が成立する確率は高まる。


3点目は、「成長分野の事業へのチャレンジ」。既存顧客が今後縮小し、事業が成り立たなくなると予想される場合、新たな分野に進出し、顧客を変えてみることを検討したい。


以前、タナベ経営中四国支社で実施したアンケートにおいて「今後の成長分野」について聞いたところ、「環境・エコビジネス」「医療・介護ビジネス」「健康・美容ビジネス」「農業ビジネス」が多く挙げられた。


変化を捉える際に必要な着眼点は「顧客にとっての価値」である。その価値が上がるように自社のビジネスモデルを構成する要素を変えていく、すなわち進化させていくことが求められる。



■ 組織経営への転換


後継者不在で経営トップが高齢の場合、環境変化が激しくなる中で経営者と現場社員の間に距離が生まれ、経営トップが思いもしない異常事態が発生する場合がある。地方創生の主人公になるためには、トップ依存型の経営から「組織経営」への転換が急がれる。


そのためには、後継経営者と一体になって戦略推進を図る「経営チーム」が必要である。組織経営体制の構築を狙い、幹部社員や次世代幹部候補社員が参画して新たな成長戦略を盛り込んだ中期ビジョンを策定していくことが望ましい。また、中期ビジョンの推進には3(スリー)ボードシステム(【図表】)の導入が最適である。


顧客価値を提供し続けるためには、後継者の目の届かないところを経営幹部が補佐し、マネジメントしなければならない。トップ独断の規模拡大は、成長ではなく「膨張」である。

201606_syuzinkou-01

【図表】3 ボードシステムの考え方



■ 「地方創生の主人公」と共に


1970年に開設したタナベ経営中四国支社は、主に中国地方(山口県・広島県・島根県)と四国地方(愛媛県)の中堅・中小企業を支援している。今後も最新の経営情報を発信して企業の発展に役立ち、地域・地場企業を支える「地方創生の強力なサポーター」を目指したい。


 

タナベ経営 コンサルタント

タナベ経営 中四国支社

  • 〒730-0016 広島市中区幟町13-4 広島マツダビル10F
    TEL:082-223-1113 FAX:082-223-1222