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vol.4 タナベ経営 中部

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vol.4
圧倒的な産業集積で日本経済を牽引



2027年の東京・品川-名古屋間のリニア中央新幹線開業を控え、名古屋駅周辺は今、高層ビルの建設ラッシュに沸いている。リニアの開業は、「首都圏から中京圏に及ぶ5000万人規模の大交流圏の誕生」という、日本の大都市圏構造そのものを変える大きなインパクトをもたらすと予想される。大交流圏の西の拠点となる東海エリアには、首都圏と対抗し得る強みを伸ばし、国内外から人を呼び込む求心力を高める戦略が求められている。


日本の産業構造が変化し、円安環境下でも貿易赤字基調が続く中、一貫して黒字を維持しているのが中京経済圏である。東海3県(愛知、岐阜、三重)の製造品出荷額は全体の約2割(2012年19.1%)を占め(※1)、また同3県の上場企業50社で東証1部の時価総額(2015年6月末時点、約610兆円)の約1割を占める(※2)。中京経済圏は、高度な技術力を背景に、自動車や航空宇宙、工作機械などの分野で日本経済を先導する産業集積の一大拠点なのだ。


日本の「産業首都」としての役割を担う愛知県は、多くの道府県が人口減少に転じる中で、自然増・社会増の両方を維持しながら人口増加を続ける数少ない自治体でもある。人口を維持するための必要十分条件は、地域に所得をもたらす「基盤産業」と、地域の雇用を吸収する「派生産業」の両者による連関構造を築くことにあり、他の追随を許さない圧倒的な産業集積の存在が人口増加の背景にあることは言うまでもない。


IT技術の革新などによって、立地条件がこれまで担ってきた役割の多くが希薄となっている今日においても、自動車は日本、ドイツ、ITは米国、そしてファッション・ジュエリーはイタリア、フランス、米国といったように、それぞれの業界を代表するような企業は2、3カ国間、場合によっては1カ国に集中して存在している。これは、専門性の高いスキルや知識、企業同士の活発な競争(強力なライバルの存在)、関連業界に属する企業群、関連機関(大学、規格団体、業界団体など)、レベルの高い顧客などが、「一つの地域にどれだけ集積しているか」ということが、企業の躍進に大きく関わっていることを物語っている。すなわち「立地」という「非常にローカルな要素」が、グローバル経済において持続的競争優位を得る上で、依然として有効なのだ。


※1 中部経済産業局「東海経済のポイント」
※2 毎日新聞出版 『週刊エコノミスト』臨時増刊2015 年10 月12 日号 47 ページ


 
■高度モジュール化と顧客価値モデルへのシフト

高い国際競争力を誇る産業集積を抱える中京経済圏の企業が目指すべき姿は、世界のデファクトスタンダード(事実上の標準)だ。自動車業界にも、多くのデジタル家電製品で先行したモジュール化の波が押し寄せようとしている。半面、DVD プレーヤーにおける光ピックアップモジュールや、エアコンにおけるインバーター制御装置など、技術的難易度が高く、日本企業が依然として高い競争力を持つものは多く存在する。このように、製品全体から「技術的に難易度が高いモジュール単体へシフト」することが有効な戦略となろう。


また、製品の品質や安全性への信頼だけでなく、興味・関心を引くモノづくりブランド戦略を立てることが不可欠である。かつてのように良い製品をつくれば世界中で売れる時代は過ぎ去った。国や地域、用途に応じた製品開発を進め、モノ単体ではなく新しいライフスタイル(いわゆる「コト」)まで提案できる製品供給が重要となる。そしてモジュール単位で差別化を図る一方で、「製品中心のビジネスモデルから顧客価値を中心としたビジネスモデルへ転換」することで、容易に模倣されることを防ぐのである。


容易に模倣されないビジネスモデルとしては、製品単体ではなく、複数の製品・サービスを組み合わせた高度なシステムを提供する「インテグレーションサービス」も有効となる。日本の成長戦略の重点分野である「鉄道運行サービス」などのインフラシステムがこれに該当する。


 
■日本経済の構造転換を牽引する中部地域を支援

タナベ経営中部本部は1969年の開設以来、約半世紀にわたって、日本経済を先導する同地域の中堅・中小企業の競争力強化を支援してきた。2015年4月より新体制を発足、「『中部創生』に貢献する戦略プラットフォーム」というビジョンのもと、「中部ファーストコールカンパニー創造支援構想(3つの街道をつないだ中部地域FCC企業の創造支援)」に取り組んでいる。


3つの街道とは「東海道」「中山道」に、「昇龍道(※3)」を加えたものを指す。モノづくりを得意としている会社は、とかく「技術一流、販売三流」に陥りやすい。そこで、製造業を中心とした東海道では、固有技術をブランド化する「テクノロジーブランド戦略」を推進することで、収益力強化に貢献していく。


続いて、リニア中央新幹線が敷設されるルートに当たる中山道では、「建設業ソリューション化戦略」を推進。ポスト五輪・ポストリニアの需要激減期に備えた建設業の課題解決産業化に貢献する。


そして最後に、インバウンド消費で注目を集める昇龍道では、従来の1泊2日・2泊3日の缶詰旅行から滞在型ビジネスモデルへの転換に向けた「観光・ツーリズム戦略」を主導したいと考えている。


中部地域が日本経済の構造転換の牽引役を担うべく、タナベ経営中部本部は「中部企業のビジネスモデル革新戦略」についての考察を深め、ゼネラルコンサルタントとエキスパートコンサルタントの融合によるチームコンサルティングで強力に支援していく。


※3 昇龍道:能登半島を竜の頭に、三重県を竜の尾に見立てた、中部9 県(愛知、岐阜、三重、静岡、長野、石川、富山、福井、滋賀)を含む観光エリア。官民一体となって外国人観光客誘致を推進する「昇龍道プロジェクト」も結成されている


 
 

タナベ経営 コンサルタント

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