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vol.3 タナベ経営 大阪

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vol.3
関西復権への3つのアプローチ



「関西」は関東に次ぐ都市圏だが、関西2 府4 県(大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県)の人口規模は、関東圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県・栃木県・群馬県・山梨県)の半分以下である。一方、圏内総生産(2012年度、名目)で比較すると、関東圏(山梨県を含む)が191.8円、関西圏は77.8兆円と関東圏に対し4割程度の水準(※1)にとどまる。


しかし、これに兵庫県と隣接する岡山県と鳥取県、さらに関西経済とかかわりを持つ島根県や四国4県(徳島県・香川県・愛媛県・高知県)を加えると様相が異なる。2府11県の“拡大”圏内総生産合計額は100兆円(102.4兆円)を超えるエリアとなり、関東圏に近づく。このように、中国・山陰地方の一部と四国地方を含めた視点で関西圏を捉えた場合、それぞれ域内企業がとるべきアプローチとして3点提言したい。

 
■海外へのブランディング強化

1点目は「外需を稼ぐ」視点である。関西圏の世界への玄関口である「関西国際空港」(以降、関空)は、成田国際空港に次いで2番目に国際線航空輸送が多い。関空の2014年(暦年)国際線旅客数は前年比10%増の1305 万人と、暦年ベースで過去最高を更新した。うち外国人旅客数は同36%増の630 万人に達し、600 万人を超えた。また国際線の発着回数も9 万3000 回と過去最高となったほか、国際線貨物量も70 万トン(前年比10%増)と4年ぶりに前年を上回った。(※2)


和歌山に本社を置くある経営者は、「この地域の企業は東京へ進出することばかりを考えている。しかし、この地域からは東京よりも関西国際空港を使って海外へ行く方が便利。だから、当社は国内よりも海外マーケットを意識して戦略を組み立ててきた」と語る。現在では海外販売拠点を米国、欧州、オセアニア、アジア各国へと広げ、この5 年間で売り上げを1.5 倍、経常利益を2 倍に伸ばしている。関西圏では、関空の航空輸送、また、阪神港(大阪港・神戸港)や舞鶴港の海上輸送を活用し、グローバルに販売戦略を考えることができる。また京都・奈良・兵庫に代表される多くの世界遺産や、日本の国宝の6 割、重要文化財の5割が関西圏に集中している文化資源の強みも生かしたい。世界へ発信できるブランド力を自社商品・サービスに取り入れることで、インバウンド需要を取り込む販売戦略も考えることができる。


※1 『県民経済計算(2012 年度)』内閣府より
※2 新関西国際空港「2014 年(平成26 年)関西国際空港・大阪国際空港12 月及び暦年運営概況(速報値)」より


 
■ 域内ブランディングの強化

2点目は「内需を生み出す」視点である。結論を先にいえば、「関西圏内の地産地消」の強化だ。理由は2つ。1つ目は各県の主力製造品の内容がそれぞれ異なること。製造品出荷額の割合(※3)を見ると、関東圏のうち5 都県の最も高い割合を「輸送用機械」が占めるのに対して、関西圏の割合のトップは兵庫・和歌山の「鉄鋼」以外、それぞれ異なる製造品である(滋賀「輸送用機械」、京都「飲料・飼料」、大阪「化学」、奈良「電気機械器具」)。さらに、エリアを広げると、岡山「石油・石炭製品」、鳥取「電子部品」、島根「鉄鋼」、徳島「化学」、香川「非鉄金属」、愛媛「石油・石炭製品」、高知「食料品」と多岐にわたる。


2つ目は、関西圏は企業数が多いことである。特に大阪府の企業数は29.9万社で東京に次ぐ全国2位。このうち99.6%が中小企業である。また個人経営企業(15.4万社)が多いのも特徴だ。中小企業は経営資源が限られるためマーケティングにかけられる費用も少ない。当然だが、広く全国や場所の離れる地域を対象にするより、近隣に集中的にかける方がコスト効率が高くなる。中堅・中小企業がエリア戦略を考える上では、近隣地域にエリアを絞り、顧客価値を最大化する方法を考えることが望ましい。域内ブランディングの強化により、エリアの中で地産地消を促進させる方法を考え、内需を生み出すことを2 つ目の方向性として提言したい。


 
■ 域内でのアライアンス強化

3点目は前述の「域内の製造品の内容が異なること」と「中小企業が多いこと」を前提に、域内でのアライアンス強化を提言したい。関西圏の製造業2社の事例を紹介する。2社とも食品を扱う会社であったが、商材が違うため、異なる顧客が多かった。その2 社が合併したことにより、それぞれの顧客に互いの商材を販売することが可能になり、既存製品の売上高を大きく伸ばすことができた。さらに工場を集約し、物流を共有化したことにより、利益率も改善する結果となった。エリアが同じであったため、域内売り上げを伸ばしつつ、コストも削減できた好事例である。


アライアンスの方法はさまざまだが、顧客価値の最大化を目指す目的を外さない限り、効果は大きい。大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県・岡山県・鳥取県・島根県・徳島県・香川県・高知県の2府10県を担当するタナベ経営大阪本部は、今年で設立55周年を迎えた。皆さまへの感謝を申し上げるとともに、これからも企業の持続的成長を支援し、関西創生に大きく貢献していきたい。


※3 経済産業省『工業統計』(平成25 年速報値)より


 
 

タナベ経営 コンサルタント
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タナベ経営 大阪本部

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