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Vol.18 何が街をつくるのか
北村 森

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2017年3月号
 

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2016年2月にオープンした「釧ちゃん食堂」は釧路港に直結。観光客はまだそう多くなく、港で働く人々や地元民がこぞって訪れる“隠れた名店”だ。晩秋に訪れた際には、それは見事なサンマの刺し身に出合えた
「釧ちゃん食堂」
〒085-0024 北海道釧路市浜町3-18
TEL:0154-25-1117
営業時間:7~15時
定休日:日祝


 
朝飲みできる店
 
前置きとして、まず2つの話をつづります。
1つ目の話。私は今、個人的に興味を持っている分野があります。それは「朝飲みできる店」。朝一番からのれんを掲げ、ビールや日本酒を1杯やれる飲食店です。
「だらしない」と思われるかもしれませんが、このような朝飲みの店というのは、全国を探すと結構あるのです。そしてさらに言うと、朝飲みの1軒で楽しんでいるのは、夜勤明けや休日の人たちばかりではない。また朝酒で、ぐでんぐでんになるのを良しとする人とも限らないのです。
見るからに仕立てのいいスーツをまとったビジネスマンや、凛とした装いのビジネスウーマンが、そうした朝飲みの店で軽く1杯やって颯爽と去っていく。そんな光景をしばしば見掛けます。
どういうことか。出張なり旅行なり、地方を訪れた場面の「最後の飲食店」として、朝飲みの1軒を選び、その地での食事を締めくくっているわけです。朝酒というのは、禁断の1杯と言ってもいい。ちょっと後ろめたい感じが、また楽しいのです。そしてその1杯に地物の肴を合わせて、くいっとやる。これ、なかなかに惹かれる選択です。
そのようなお店は東京だけでなく、大阪にも福岡にも札幌にもあります。つい先日は、愛媛県の創業100年を超える老舗で、朝早くから鯛めしとビールを満喫してきました。
一方で、北陸のある地方都市で乗ったタクシーの運転手さんが「せっかく海産物に恵まれた街なのに、旅の終わりの朝に飲めるいい店がほとんどないんですよね」と語るのも聞きました。乗客から尋ねられても案内することができず、困っているという話です。
朝飲みの店というのは、旅慣れた人を振り向かせる魅力にあふれている、そういう存在だと私は思います。
 

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