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【メソッド】

梶原しげるのビジネスに効く!会話のヒント

文化放送のアナウンサーを経てフリーに転身。テレビやラジオ番組の司会として幅広く活躍してきた梶原氏が、ビジネスシーンに役立つ会話のヒントをお届けします。
メソッド2017.04.27

vol.20 おべっかの効用

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2017年5月号

「世界のYAZAWA」のエネルギー源

世界のYAZAWA・矢沢永吉さん。私はある番組で「意外な永ちゃんの話」を聞いて驚いたことがあります。大盛り上がりのステージを終え、汗びっしょりのまま舞台の袖に戻った瞬間、スタッフにこう尋ねるのだそうです。

どうもこうも、永ちゃんのエキサイティングで超一流のパフォーマンスが良くないはずがありません。どこから見ても、完璧に歌い切った、非の打ちどころのない仕事を終えた後の「俺、どうだった?」という問い掛け。真意が気になりました。

スーパースターの話の後で私の話をかぶせるのもなんですが、私も人前に出る仕事を終えた後、これで良かったのか? 周りの評価はどうだったのか? 気になって「俺、どうだった?」と聞くことがあります。

古い世代の人は大抵「良かったよ」と(実際にはそんなに良くなくても)笑顔で声を掛けてくれるものですが、若い世代の人は割と淡泊な反応で「え? いいんじゃないですか(どうでも)」みたいな反応です。そんなときは「こりゃあしくじったかな……」と落ち込んでしまいます。

世界のYAZAWAの「俺、どうだった?」は「良かっただろ?」という「自信の確認」ぐらいなのでは、と思っていたら、音楽業界関係者の友人がこう言いました。

「矢沢さんは、1回1回のコンサートにものすごく真摯に臨んでいて、本気でその日の感想を周囲に求めるんだそうだ。当然、ライブは最高なんだけど、周囲も『最高です』『すごく良かったです』というようなおざなりではなく、持てる全ての語彙を動員して『ガチンコで称賛』するらしいね。それが次へのモチベーションとなる。これが矢沢さんのすごいところだよね」

あの矢沢さんでさえ、仕事を終えた後に聞く「称賛」は大きな威力を発揮するのだと、感心してしまいました。

「私の仕事、どうでした?」と仲間や部下が尋ねたときは、ぜひ、よほどのことがない限り「良かったね!やるね!!」と、たたえてあげていただきたいものです。

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