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【メソッド】

梶原しげるのビジネスに効く!会話のヒント

文化放送のアナウンサーを経てフリーに転身。テレビやラジオ番組の司会として幅広く活躍してきた梶原氏が、ビジネスシーンに役立つ会話のヒントをお届けします。
メソッド2016.01.20

vol.5 「この人、誰だっけ?」を切り抜けるには
梶原しげる

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しかし、私はひるまず言います。「あいまいさ」や「ゆるさ」が求められる場面だってあることを。

2015年に上梓した拙著『新米上司の言葉掛け』(技術評論社)でもそのことを書いています。例えば、仕事の要領が悪く、無駄に時間のかかる若手社員に、上司としてなんと声を掛けるのか。あなたならどうしますか?

「まだできないの?」「どうしてできないの?」という「理詰めで追い込む」ことは避けるべきだと私はお勧めしました。

「はい! まだです。なぜならば、指示が不明確で、あいまいで、要領を得ないからです」などと、理路整然とした答えが返ってくるはずもないからです。

仕事に不慣れな新人を「問いただす」ことには意味がない、というのが私の考えです。

「私ならどうするか」ということで提示したのが、「今、どんな感じ?」でした。まるで論理的でなく、極めてあいまいな言い方なので、「上司失格だ!」と断言されてしまいそうです。

とはいえ、「まだ?」「なぜ?」と攻め立てられて、「そうだ、急がないといけないんだ! よーし、頑張るぞ!」とやる気をアップさせる新人は、ほぼゼロです。何が問題でうまく進められないのか? 何が何やら分からず混乱しているうちに時間が過ぎていく。そんな「迷える新人」を共感的にサポートするには、「どんな感じ?」程度のあいまいな、ゆるい言葉がほどよい気がするのです。

プレッシャーは、人を目覚めさせることもあれば、萎縮させ、混乱を深めることもあります。

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