TCG Review

サイト内検索

vol.4 長期休暇を取るには社会全体の合意が不可欠

1 / 7ページ

201809_index_kumagai
2018年12月号
 

前回(2018年11月号)お伝えしたように、ドイツでは会社員が2~3週間まとめて有給休暇を取るのは常識である。彼・彼女らはイタリアやフランスなどの欧州諸国だけではなく、ベトナムや南米など遠い国にも旅行する。片道10時間飛行機に乗るような遠い国へ行く場合には、1週間の休暇では不十分だし、お金がもったいないと考えるからだ。

 
 

201812_germany_01

2018年にドイツ人が休暇のための旅行先として最も頻繁に検索した都市
※資料=monondo(ドイツの旅行会社)の検索エンジンで検索回数が最も多かった都市


 
 

毎年30日間の有休を全て消化する

 
ドイツの企業は、法律によって最低24日間の有給休暇を社員に与えることが義務付けられている。また大半の企業では、社員に有給休暇を30日与えている他、残業時間を毎年10~15日代休として消化することを認めている。
 
連載第1回目(2018年9月号)で紹介したように、ドイツ企業では1日の労働時間は原則として8時間を超えてはならない。10時間まで延長することもできるが、それ以上長く働くことは法律で禁止されている。このため、少し長く働けばすぐに残業時間がたまる。旧西ドイツでは製造業界の毎週の所定労働時間は35時間、金融業界では38時間だ。メーカーでは1日7時間、銀行では1日7.6時間を超えて働けば残業時間がたまっていく。
 
従って、ドイツの会社では「明日は残業を消化します」と言って金曜日に代休を取り、週末を含めて3連休にすることは珍しくない。会社側も社員の健康を一番に考えなくてはならないので、社員が残業時間を代休で消化することについて、文句を言わない。
 
つまりドイツの多くのビジネスパーソンは、残業の代休も含めると毎年40~45日の有給休暇を取っていることになる。さらに土日や祝日も含めると、彼らは毎年150日前後休んでいることになる。ドイツに駐在している日本企業のビジネスパーソンたちは「これでよく会社や経済が回っているものだ」という感想を抱いている。「月100時間を超える残業のために過労死」というようなニュースは、この国では聞いたことがない。
 
 
 

1 2 3 4 5 6 7