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vol.3 「仕事が人につく」から休めない

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2018年11月号
 

ドイツでは営業担当の社員でも、2~3週間まとめて休むのは当たり前のことだ。ドイツのビジネスパーソンが、それだけの長期休暇を取れる最大の理由は、仕事が個人ではなく、会社についているからだ。これに対し、日本では仕事が会社よりも個人、つまり「担当者」についている。いわゆる「属人主義」だ。日本では、担当者の重要性がドイツに比べて大きい。

 
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ドイツの顧客は担当者が長い休暇を取っても怒らない

 
日本の商慣習では、多くの顧客がいつでも担当者と連絡を取れるのが当たり前と考えられている。日本は、人間関係を重視する国である。大半の顧客は、「担当者は自分のことをよく理解しているので、その人に連絡すれば最良のサービスを受けられる」と考えている。
 
日本人は、担当者に感情移入しがちである。「この担当者とはもう何年も取引関係にあるのだから、少しぐらいの無理は聞いてもらえるだろう」という、甘えに似た感情を抱く人もいるかもしれない。その担当者と2週間も連絡が取れないなどということは、日本では言語道断である。
 
これに対しドイツでは、顧客は自分の担当者が2週間バカンスを取って連絡が取れなくても、怒らない。その人の同僚が顧客の問い合わせにきちんと対応しさえすれば、顧客は満足する。
 
その理由は、ドイツでは顧客も「休暇は聖なるものだ」ということを理解しているからだ。この国では、顧客自身も2~3週間の休暇を取るので、自分の取引先の社員がまとめて休暇を取るのは当たり前だと思っている。休暇は万人の権利である。従って「代理の者ではだめだ。担当者を出せ!」と怒る顧客はほぼ皆無だ。
 
日本の顧客は「自分は2週間の休暇を取れないのに、取引先の担当者が2週間の休暇を取るなんて……」と不満に思うかもしれない。これは日独の「休暇文化」の間に横たわる大きな違いである。顧客も含めて、全てのビジネスパーソンが長期休暇を取れる社会を実現しなくては、結局は誰もまとまった休みを取れないかもしれない。社会の中で休暇に関する不平等感やねたみをなくすことは、極めて重要である。
 
ドイツの顧客にとって本当に重要なのは、その企業の社員からきちんとした対応をしてもらうことであり、「自分に対応してくれるのが、常に特定の社員でなくてはならない」というケースは、めったにない。
 
 
 

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