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持続的成長を実現するファミリービジネス

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2018年4月号
 
日本では、ファミリービジネスは「同族企業」と訳される。同族企業はワンマン経営や公私混同、あるいは相続争い・後継者争いといった“お家騒動”が取り上げられることが多く、ネガティブな印象で捉えられがちである。しかし近年、欧米諸国でファミリービジネスの特徴やメリットが注目を浴び、研究対象とされているのだ。ファミリービジネスの経営スタイルは多くの強みを持っているといえる。

 
日本のファミリービジネスにみられる特徴から、経営の持続性と事業の成長性を整理すると次のようなことが挙げられる。
 
①長寿企業が多い …… 持続性重視の経営スタイル

 
日本は長寿企業大国といわれる。創業100年、200年といった老舗企業の数は全世界の約半数を占めており、その大半はファミリービジネスである。日本の社会では、「家(すなわちファミリー)の継続」が大前提とされてきたため、こうした家を守り続けるという精神が長寿企業の多さに結び付いている。
 
②創業の精神が受け継がれている…… 強固な組織文化
 
家訓や創業者の精神によって、強いコミットメントとモチベーションを持つ人材が育ち、結束といたわりの組織文化を育む。また、それがファミリーガバナンスとして機能していることが持続的成長をもたらしている。
 
③高い安定性と収益力 …… 迅速な意思決定と長期視点の経営
 
ファミリービジネスと一般企業を比較した場合、ファミリービジネスの方が安定性・収益性が優れているという調査結果もある。その背景には「株主と経営の利害が一致しやすく、スピードある決断ができる」「経営者の現役期間が長いため、長期的な視点で経営ができる」といったことが挙げられる。
 
④大胆な変革や改革を行いやすい …… 革新という伝統
 
経営者自身やファミリーが多くの株式を保有しているため、意思決定も素早く行うことができ、大胆な変革を行う潜在能力を有している。200年続く老舗企業を見ると、時代に合った形で大胆な変革を幾度も行ってきたケースが多い。むしろ、長い伝統を持つだけでは企業の強さにはならず、伝統と革新を結び付けることが大切なのだ。
 
⑤後継者の早期育成 …… 事業承継の技術
 
ファミリービジネスでは早くから後継者が決まっていることが多く、幼い頃から計画的に経営者としての帝王学を教育することができる。これにより、後継者が事業を継ぐという意識を持ちやすいことも大きなメリットとなる。また、先代やファミリーが後継者のサポートを行うことができるということも、ファミリービジネスのメリットである。
 
すなわち、ファミリービジネスの特性を理解し、強みやメリットを最大限に生かすことこそが持続的成長を実現するのだ。
 


タナベ経営 取締役/
戦略財務研究会 アドバイザー

藁田 勝 Masaru Warata
立命館大学大学院修了(経営修士)。金融機関勤務を経て、2000年にタナベ経営入社、2014年より現職。志の高い経営者とともに理想を追い続けるコンサルティングの実践が信条。赤字企業の再建から成長戦略の構築まで数多くの実績を誇る。
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