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未来視点で事業を変革し「スペースクリエーション企業」へ
サンゲツ

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2021年9月号

 

 

 

 

経営を取り巻く環境が大きく変わる中で、2014年に初めて創業家以外から社長が就任し、「社員が主役」の経営体制の下、構造改革に取り組んでいるサンゲツ。2020年に新たな長期ビジョンと中期経営計画を掲げ、2030年へ向けて事業の変革を進めている。

 

 

市場環境に対応し、持続的な成長戦略を描く

 

サンゲツは、愛知県名古屋市に本社を置くインテリア企業である。事業の原点は、江戸時代末期(嘉永年間)に、表具師日比弥助が創業した山月堂だ。元々、ふすま張りなどの手仕事を手掛けていたが、次第にふすま材料を商うようになった。そして1956年、他社に先駆けて壁紙の取り扱いを始め、建築物の洋風化などを背景に大きく成長したことが、今日の事業の基盤となった。

 

現在は壁装材や床材、カーテン、椅子生地などを幅広く取り扱い、国内では壁装材で5割以上、床材で約4割と高いシェアを誇っている。

 

健全な財務体制の下で着実に事業を拡大してきた同社だが、代表取締役社長執行役員の安田正介氏は、2014年の社長就任前、社外取締役だったころから、同社の将来に対して危機感を募らせていた。

 

「極端な話ですが、私が創業家から経営のバトンを受け取り、代表取締役に就任した当時は、5年間は寝ていても企業を存続させることができるほど、財務基盤が安定していました。しかし、変化する社会の中で10年後、20年後を見据えたとき、このままの事業体制で良いのかと懸念を抱きました」(安田氏)

 

1975年、サンゲツは同社が提供する価値として「サンゲツ三則」(「創造的デザイン」「信頼される品質」「適正な市場価格」)を掲げた。これは当時、サンゲツが社会に提供する「ものづくり」への姿勢を表す原理原則として、内装業界で高い地位を築く指針となってきた。しかし、市場環境が大きく変化する中で「持続的な成長を実現するためには、これだけでは勝てない」という思いが安田氏の胸の内にあった。

 

「『創造的デザイン』を実現するために苦労して壁紙やカーテンのデザインを考えても、すぐに類似品は現れます。また、今は品質が良くて当たり前の時代なので、プラスアルファの付加価値が必要です。そして、『適正な市場価格』と言いながら、現状は、商品価値に加え、配送などのサービスを含めた提供価値への対価として適正な価格とはなっていない。こうした課題を考えると、現状の経営の仕方で今後も持続的に成長していくのは難しいと考え、構造改革に取り組んできました」(安田氏)

 

同社は安田氏の就任以来、3カ年の中期経営計画を2度策定し、実行してきた。これによって、事業構造の在り方や組織体制は大きく変革した。しかしながら、安田氏には、「過去の延長線上ではなく、もっと未来志向の経営を示すことで、社内の士気を高めながら、社外に対してブランド価値の向上を訴求したい」との思いがあった。

 

 

 

サンゲツでは、壁装材、床材、カーテンなど、幅広い内装材を取り扱う

 

 

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