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「他楽」の理念を実現するおいしい健康食
竹屋旅館

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2021年6月号

 

 

地域と連携し健康食を「当たり前」に

 

食のバリアフリー化から始まった「大きな志」の挑戦は今、地域資産を生かすスマートヘルスツーリズムとともに「健康×観光」事業の展開へ広がりを見せる。コロナ禍は本業のホテル事業を直撃したが、多角化が一筋の光明となっている。

 

「シェフが調理しかできないままでは大変だったと思いますが、大学で食育指導を任されるなど突破口としての新たな可能性が生まれ、助かっています。フロントなど他職種の社員も、お客さまから『良い取り組みだね!』との声をいただき、モチベーションが向上しています」(竹内氏)

 

これまで平均10%程度だった離職率は、2019年以降で0%を維持。創業以来初の快挙は、人材の入れ替わりが激しいホテル・観光産業で、自社ブランドに磨きをかける原動力になっている。地域への貢献では、静岡県と連携。コロナ禍で外食機会が減った地元飲食店がメディシェフの資格を取得し、「減塩ブイヤベース」など免疫力を高めて生活習慣病を予防する健康食メニューの開発プロジェクトが始動している。

 

「全国の企業や教育機関と連携し、2021年度に5000人、翌22年度は1万人へと有資格者を増やしていきたいですね。健康食をより強力に発信する存在になれたらと思います。

 

ただ、スピード感より『地道に、丁寧に』進めることが大事です。生活習慣が徐々に変わりながら健康食が根付くように。ブームではなく新しい文化になるように。将来、飲食店の権威であるミシュランの星付き部門にもヘルスケア部門ができ、健康食やメディシェフが当たり前の存在になることが、私たちの一番の使命と言えるのかもしれません」(竹内氏)

 

「誰も孤独にしない食」を目指して掲げたスローガン「食のNext Standardをつくる」は、SDGsやサステナブルな社会づくりにつながるものだ。DX時代にデジタルネイティブ世代が活躍し始めたように、生まれた時から食べる物が健康的であることが当たり前の「健康食ネイティブ時代」が、幕を開けようとしている。

 

 

竹屋旅館 代表取締役社長、
日本医食促進協会 代表理事 竹内 佑騎氏

 

 

Column

サイエンスとアートの融合

「健康食のためのレシピづくりよりも人づくりへと注力するようになったら、医と食の専門家から『無償でいいから協力するよ』と賛同を得られるようになりました」(竹内氏)

 

制約が多いヘルスケアの現場に疑問を感じ、「何とか変えたい」「挑戦する仲間をつくりたい」と考えている人が集まったという。

 

「感性を大事にする料理人は、いわばアーティスト。一方で、栄養学はエビデンスを数値化するサイエンスの世界。その組み合わせで良いイノベーションが起き、再現性が高まります。健康でおいしい食を創り出し、さらに地域の観光資源の発掘・活性化へつながる一歩になりました」(竹内氏)

 

サイエンスが確かな土台となって、アーティスティックな創造性を積み上げ、活躍シーンが広がり発信力を高めていく。それが、メディシェフの姿だ。暮らしに欠かせない「衣食住」にもう1つ、「医食充」(健康な医と食で充実する人生)の時代が到来したと言えるだろう。

 

 

PROFILE

  • (株)竹屋旅館
  • 所在地:静岡県静岡市清水区真砂町3-27
  • 設立:1949年
  • 代表者:代表取締役社長 竹内 佑騎
  • 売上高:4億円(連結、2020年5月期)
  • 従業員数:60名(連結、2020年5月現在)

 

  • (一社)日本医食促進協会
  • 設立:2017年
  • 代表者:代表理事 竹内 佑騎
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