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地域の“健幸”交流コミュニティーを全国へ
アグリマス

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2021年6月号

 

 

 

 

アグリマスという社名の由来は「農業(アグリ)をおいしくいただきます」。野菜の販売で商売をスタートし、いまや地域のヘルスケアの課題に取り組む同社は、農業ビジネス発で育んできた3本柱の事業によって顧客のウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態)実現を目指す。

 

 

「ご当地健幸TV」を日本全国へ配信

 

「健康は食べるものから始まります。当社のミッションに掲げる『薬に頼らない本物の健康』、つまり『医食同源』が私たちの出発点です。創業である産直野菜のリヤカー販売から八百屋をつくり、その店舗の奥にヨガスタジオを増設。介護保険を利用したいという地域の声を聞いてデイサービスも始めました」

 

そう語るのは、アグリマスの代表取締役である小瀧歩氏だ。2013年にスタートした八百屋を主体とするヨガスタジオ併設のデイサービス施設「東京マルシェ池上」は、世の中にないビジネスモデルへの挑戦だった。

 

「定員が10名と少なく儲からないビジネスモデルですが、10名に光を当て、身心ともに豊かな地域の暮らしを支えています。それに、ここだけで終わらせないために、小さなコミュニティーの輪を池上から日本全国へ広げて事業をスケール化しようと、当初から考えていました」(小瀧氏)

 

スケール化の手段として着想したのが「健幸TV」。毎日定時に配信され、テレビ番組のように楽しめる健康プログラムである。2021年4月現在で150本以上の動画コンテンツをオンデマンド配信している。

 

介護保険に頼らない保険外サービスであること。過疎化が進む村や離島など、ヘルスケアの専門家がいない地域に使いやすく役立つコンテンツを届けること。この2つにこだわって提供を始めたが、開始当初は「カラオケ配信にも体操メニューはある」と断られる日々が続いた。牙城を崩そうとリーズナブルな価格を設定しつつ、より本質的な「リアルとインターネットの融合サービス」の実現を目指していった。

 

「出演するインストラクターが定期的に配信先のデイサービスに出張訪問し、一緒に体操をします。リアルなサービスとネット配信の融合で、質も確かなものになりました」(小瀧氏)

 

健幸TVの価値を高める転機も訪れた。東証1部上場の大手薬局チェーンであるメディカルシステムネットワーク(札幌市中央区)の出資を得てグループ企業となり、経営基盤が安定。また、全国一律の動画配信をOEM仕様に転換し、北海道・なの花薬局の「なの花TV」をはじめ、グループ企業の調剤薬局、各地域の介護施設やカフェ、終活を支援する行政書士、葬儀会社など多様なパートナーの自社ブランドを冠した「ご当地健幸TV」の提供を開始し、活用シーンが一気に拡大した。契約形態は、利益をあらかじめ決めた配分率で分け合うレベニューシェアだ。パートナーが地元で動画配信の利用施設を積極的に増やすことで、新たな収益源が次々と生まれている。

 

「動画の編集制作と配信のプラットフォームは当社が提供しますが、動画の内容はパートナーのオリジナル。介護予防から葬儀まで、異なる業種を横軸で貫くビジネスは従来になかったもので、多様な展開ができる面白さがあります」(小瀧氏)

 

利用施設は全国200を超え、パートナーのオンライン勉強会「ご当地健幸TVカンファレンス」も四半期ごとに開催している。全国共通の課題と解決策、地域固有の成功事例も共有するパートナーシップの連携は、互いの存在が良いロールモデルとなり、サービスを利用する高齢者の安心感や信頼の向上にもつながっている。

 

 

動画配信サービス「健幸TV」
健康情報や予防プログラムなど、150本以上のコンテンツプログラムを配信。オンライン勉強会「ご当地健幸TV カンファレンス」では、日本全国の参加パートナー同士で地域の課題と解決策を共有する

 

 

 

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