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「介護保険+保険外サービス」統合モデルの実現へ
エムダブルエス日高

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2021年6月号

 

 

ICTリハ
「平成28年度健康寿命延伸産業創出推進事業」(経済産業省)にも採択された「ICTリハ」。介護度が改善した利用者の実績をデータ化し、有酸素運動や筋トレなど8つのメニュー、200超のコンテンツから、一人一人に最適なリハビリを選択し「パーソナルベスト」へと導く。トレーニングジムは、昼間の利用は55歳以上に限定。筋肉や関節に無理なく体力を付けるため、健康運動指導士が個別に指導する。

 

 

ビッグデータを蓄積・活用する「ICTリハ」

 

「健康なときから私たちのサービスを体感してもらい、要介護になったら真っ先に選んでもらえるように」。これまでにない次世代型デイサービスがロールモデルとなり、同社は全国の医療・福祉法人にノウハウを提供している。北嶋氏は「成否の鍵は利用者のプライドを傷付けないこと」と語る。

 

「『○○老人ホーム』といったステッカーの付いた送迎車だと、『自宅から離れた場所で降ろして』と要望する高齢者も多いのです。それをやめたら『北嶋さんは、よく分かってる!他のデイサービスには絶対に行かないから』と声を掛けてくれました(笑)」(北嶋氏)

 

介護福祉業界の常識を変える挑戦は、既存サービスのブラッシュアップにも及んでいる。とりわけ力を入れているのが、ICTによるビッグデータの活用だ。

 

8つのリハビリメニュー、細分化した200超のコンテンツなど、全10事業所の利用状況と改善成果を一元管理し、ビッグデータを生成。介護改善の再現性を追求する介護支援リハビリシステム「ICT REHA」(ICTリハ)を自社独自で開発した。

 

「勘や経験則に頼るだけでなく、何をどうすれば介護度が軽度改善・維持したのかをデータで蓄積。AIで一人一人に合うパーソナルベストのリハビリプログラムをモデリングしています」(北嶋氏)

 

重視したのは「医学×統計学」によるエビデンスだ。認知症予防で注目を集めるフィンガー研究をベースに、医学は日高会グループの学術研究センター、統計学は前橋工科大学の協力を得た。ビッグデータが示す、学術的なエビデンスに基づいた最適な選択によって納得性が高まり、高齢者がリハビリや健康維持へ前向きに取り組むようになった。維持改善率は2017年度に80%超を記録した。

 

「腑に落ちるICTリハで生活習慣に行動変容を起こすことに成功しました。年齢や介護度の違いもあるので、改善率だけで優劣は判断できませんが、今年より来年が良くなる数値指標は必要です。まずは自社実績をベンチマークに、将来は社会全体でより良いヘルスケアを共創する指標になっていくと思っています」(北嶋氏)

 

介護職員にも、行動変容が生まれている。ICTリハの伝言システムで多様な専門職が全員、利用者データを共有。保険外サービスの提案も相次いで生まれるようになった。

 

「お世話は介護福祉士、元気にするのは機能訓練指導員と、仕事を職種で分けると見えない壁が生まれやすい。『みんなで元気にするマインド』へとパラダイムシフトを起こすことで、モチベーションが向上しました。チームリハビリなどの保険外サービスも現場の提案で生まれました」(北嶋氏)

 

ICTリハは、介護予防・介護改善のリハビリプラットフォームとして、経済産業省「平成28年度健康寿命延伸産業創出推進事業」に採択された。その成果は、2021年度に始まる厚生労働省の「科学的介護情報システム(LIFE)」にも生かされている。

 

「自己選択型の次世代デイサービスは、高齢者がやりたいことだけをやり、回復に必要とされることをやらなくなるというデメリットもあります。そこで、当社は第3世代型のICTリハ(データへルスケア)によって最適なリハビリを提案し、パーソナルベストの行動変容へと導くステージに立っています」(北嶋氏)

 

 

※高齢者の状態やケア内容などのデータベース「CHASE(チェイス)」と、通所・訪問リハビリ事業の質の評価データベース「VISIT(ビジット)」を統合。2021年4月からデイサービスの介護報酬の点数加算改定とともに導入予定

 

 

 

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