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交通インフラの一部を自転車が担うまちづくり
ドコモ・バイクシェア

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2021年4月号

 

 

非接触で利用できるシェアサイクルは、電車・車に次ぐ新しい交通手段としてニーズが急増している

 

 

都心部で利用者を見かけない日はないほどシェアサイクルが好調だ。
急速な広まりの背景には、自治体や事業者と「ビジネスをシェア」する戦略があった。

 

 

買うものから借りるものへ意識転換が進む

 

「自転車は買うものじゃなくて借りるもの」。数年前にそう言えば、怪訝な顔をされていたに違いない。だが、漕ぐのが楽な電動アシスト自転車を借りたいときに借りて、返却はサイクルポート(専用自転車駐輪場、以降、ポート)のある場所ならどこでも乗り捨て自由。

 

充電もメンテナンスの手間もいらない上、駐輪スペースに頭を悩ませることもないとなれば、都市部での移動手段としてこれ以上便利なものはないだろう。

 

「ポート数が増えるにつれて徐々に便利さを実感いただけるユーザーが増えてきました。それが良い循環を生んでいるのだと思います」と分析するのは、ドコモ・バイクシェア経営企画部 経営企画担当課長の江﨑裕太氏だ。

 

同社の親会社であるNTTドコモが自転車のレンタル事業に乗り出したのは、2011年。初年度こそ利用回数は年間4万回だったが、年々、指数関数的に増え、2019年度には同1200万回に達している。ドコモ・バイクシェアとしてNTTドコモから独立した2015年度(同100万回)と比較して12倍だ。直営とシステム提供を合わせて全国34エリア、登録会員数は直営のみで95万人に上る(2020年12月現在)。

 

 

通信技術のノウハウを生かしシェアビジネスに参入

 

2011年時点で、通信会社であるNTTドコモに自転車という分野との接点はなかった。それにもかかわらず、この分野への参入を図ったのは、自社の強みを生かせるとの目算があったからだ。

 

「シェアサイクルビジネスの肝は、位置情報や会員情報をモビリティーに付けることです。これが会議室シェアのビジネスであれば、有線の通信ネットワークがあれば事足りる。移動するものだからこそ私たちの力を発揮できると考えたのです」と江﨑氏は話す。

 

当時、通信各社はパーソナルな通信を提供するだけでなく、医療や教育分野で通信技術を生かしたビジネスを展開できないか検討していた。全方位で事業の可能性を探る中、温暖化ガスの削減といった環境分野での貢献からひらめいたのがシェアサイクルビジネスだった。環境面で先進的な取り組みをしている北欧で、すでに普及が進んでいたことも追い風となったという。

 

もくろみは当たり、ビジネスは大きく拡大した。市場に他社も次々と参入し、「乗り捨てられるレンタル電動自転車」は一気にメジャーな存在となっていった。

 

 

 

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