FCC REVIEW.Digital

サイト内検索

時代や顧客と価値を共創するファッションテック
コックス

1 / 3ページ


2021年4月号

 

 

団塊ジュニア世代のファミリーブランド「ikka」はライフスタイルブランドへ、30歳代女性向けのライフスタイルブランド「LBC」は「How beautiful!」をコンセプトに、インハウス中心からアウトドアにもセグメントを拡大し、大胆なリブランドを実施

 

 

「自ら変化を起こさないリスク」に気付き、維持してきた収益モデルの呪縛から自社を解き放って、ファッションを起点にライフスタイルの創造に挑む企業がある。

 

 

郊外型店舗中心の収益モデルをリブランディング

 

ファッション小売業からファッションテック企業への転換――。コックスの代表取締役社長・寺脇栄一氏が2018年の社長就任時に、成長軌道へのリバイバルプラン(再建計画)として発信したメッセージだ。ただ、イメージしている姿はDX一辺倒ではない。

 

「ビジネスの根幹であり続けたリアルな店舗販売で培ったアナログのリソースと、オンラインECサイトやデジタルテクノロジーの融合を成し遂げていこう、と。お客さま第一という不変の方向性を再確認した上で、時代の変化に遅れず新たな価値を創造していくビジョンです」(寺脇氏)

 

イオングループ(千葉県千葉市)のカジュアルファッション専門店として全国に217店舗(2021年1月末現在)を展開する同社。2001年度の売上高670億円をピークに、縮小するアパレル市場とともに業績は右肩下がりが続いたが、一方でBtoC市場のECサイトでの購入比率は伸び続けていた。「DXの遅れは死活問題でリバイバルプランに不可欠ですが、同時に満足度を重視するお客さまは増えていきます。強みであるリソースは絶対に守ろうと考えました」と寺脇氏は続ける。

 

「リソース」とは、高い満足度の提供にこだわるファッションアドバイザーの存在だ。単なる販売スタッフとは異なる接客提案力を生かす顧客起点のOMOで、利便性や楽しさのUX(顧客体験価値)を実感できるファッションテックへ。それは「誰に(ターゲット顧客)」「何を(最適な品ぞろえ)」「どのように(販売チャネル)」を自らの手で変える挑戦だった。

 

「誰に」「何を」は、主要ブランドの「ikka(イッカ)」や「LBC(エルビーシー)」において、顧客世代別セグメントからカップル、ノンエイジ、ジェンダーレスへとかじを切るリブランディングを実施。店舗立地も、ショッピングモールの郊外型から都心のターミナル立地へシフトした。

 

「どのように」は、自社ECサイト主体の販売戦略に転換。2020年春、AIによるコーディネート提案を開始し、秋には「TOKYO DESIGN CHANNEL」として自社ECサイトの全面リニューアルを果たした。

 

OMOによる収益モデルの変革は、これから顧客となっていくミレニアル世代やZ世代も見据え、その新しい生活様式にふさわしい価値・事業の創造を目指すものだ。さらに、店舗とECサイトが「シームレスでインタラクティブな相互送客ができること」(寺脇氏)も大きな特徴である。

 

ECサイトで購入した商品の店舗受け取りや、値札のQRコードから在庫確保、店舗・自宅配送の選択も自由にできる。また、店舗からSNSを使ったライブ配信でECサイト顧客の来店動機を高めるなど、ファッションアドバイザーがインフルエンサーになる仕掛けも始動。店舗でファッションアドバイザーから良い提案を受け、ECサイトでいつどこでも購入が可能になった。

 

「ECサイト経由での購買の9割がスマートフォンです。UI(ユーザーインターフェース)もスマホファーストで向上し、ECサイトでの購入比率は対前年比で2倍超、全体の20%に増えました。2020年代には、ほぼ逆転しているでしょう」(寺脇氏)

 

店舗とECサイトで併買する顧客会員は増え続け、購買単価は一方のみの会員の3倍強に及ぶ。併買者数は会員総数のまだ5%だが、それは95%の有望な未開拓地があることを物語っている。

 

 

※Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合

 

 

 

1 2 3