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創業者精神の承継こそ最重要
–長寿企業へのヒントが満載–
後藤 俊夫 氏

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2018年4月号
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非効率で閉鎖的、緩いガバナンス、不透明な人事――。
ネガティブなイメージを持たれがちなファミリービジネスだが、実は好業績で長寿の企業が多い。日本ではトヨタ自動車、キヤノン、竹中工務店、サントリーなどが代表例だ。
ファミリービジネス研究の第一人者、日本経済大学大学院特任教授で100年経営研究機構代表理事の後藤俊夫氏に、その特長と課題を聞いた。

 
上場企業の過半数がファミリービジネス
 
?? ファミリービジネスの定義をお聞かせください。
 
後藤 国際的な学会が決めた定義は「創業者ならびにその親族の影響下にある企業」です。しかし、「影響下」という表現が分かりにくいので、私はより具体性を持たせて「創業者ならびに親族の複数名が経営者もしくは所有者として影響を持つ企業」と定義しています。つまり、過去から現在に至るまでの間に、創業者とその親族が2名以上、役員もしくは株主になっていたらファミリービジネスに該当します。
 
?? 株式の保有率は関係しないのですか。
 
後藤 それは学会でも議論になっている論点です。ある米国の学者は発行済み株式総数の50%以上を保有する必要があると主張していますが、私は保有率にとらわれる必要はなく、株主として強い力を持っているかどうかで判断をすべきだと考えます。例えば、トヨタグループの創業家である豊田氏の一族は、同社の株式をほとんど保有していないものの、今でも大きな影響力を持っています。通常の上場企業においては、創業者のファミリーが株主名簿上位10位以内の大株主に入っていれば、影響力は相当大きいと考えられます。
 
?? 日本にファミリービジネスはどのくらい存在するのでしょうか。
 
後藤 (私が監修を務めた)日本初の『ファミリービジネス白書2015年版』(同友館)の中で、日本の上場企業におけるファミリービジネスの割合が発表されています。同書によると、日本の上場企業約3800社(発行当時)の51.3%がファミリービジネスで、日本を代表する企業集団といえる東証1部でも45%がファミリービジネスです。

 
さらに全国でも、経済規模が比較的大きく、多様な業種に大企業や中小企業が分散しています。「日本の縮図」と呼ばれる静岡県を調査すると、法人企業の実に96.9%がファミリービジネスで、そこに勤務する従業員数は全体の77.4%に達することが分かりました。全国でも近似した数値になると考えられます。
 
?? 海外でもファミリービジネスは多いのですか。
 
後藤 日本と同様に海外でもファミリービジネスは数多く存在し、活発に事業を展開しています。先進国の上場企業のデータからファミリービジネス比率を調べたのが【図表1】です。ちなみにファミリービジネスの研究は、日本よりも海外の方が格段に進んでいます。
 
 
 
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