TCG Review

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「おしぼりは心のサービス」という理念
-親から子へのたすきリレーでつないだものは-
FSX

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2018年4月号
 

飲食店向けのおしぼりレンタル事業から、おしぼり関連の商品開発・製造、小売業、サイエンス事業へと水平展開に成功したFSX。
そこには事業承継する親子共通の思いがあった。

 
入社直後の悔しさをばねに新規事業へチャレンジ
 
一説には平安時代に生まれたといわれるおしぼり。江戸時代には各地の旅籠が水おけと手拭いを用意し、旅人の疲れを癒やしたそうだ。日本独自のおもてなしの文化は今も息づき、飲食店ではタオル地のおしぼりを出されることが多い。そんなおしぼりレンタル事業を古くから展開する企業がFSXだ。
 
同社は1967年に現会長である藤波璋光氏が藤波タオルサービスを創業したことに端を発する。以来、東京・多摩地方の飲食店を中心におしぼりレンタルのサービスを展開して成長した。
 
現社長である藤波克之氏が入社したのは、レンタルおしぼり事業に陰りが見え始めた2004年。会社員からの転職だった。
 
「小さなころから会社を継ぐことは全く考えていなかったのですが、入社する少し前に父が病気になったことで、初めて考えるようになりました。さらに入社後の翌年、また父が病気になった時に、真剣に承継を考えました。入社後は現場で仕事を覚えるのが一番だと考え、まずは工場勤務を経験しました」
 
克之氏は入社当時をそう振り返る。その後、2009年に代表権のある専務取締役に就任し、2013年に現職(代表取締役社長 兼 最高経営責任者)に就任した。この間、同社はおしぼりレンタル分野以外の新しいことに次々とチャレンジしていった。おしぼりに香りを付ける芳香剤「LARME」(ラルム)の開発、自社ブランド高級おしぼり「アロマペーパータオル」の販売、さらには抗ウイルス・抗菌・除菌・防臭のおしぼり「VB(ウイルスブロック)」を東京工業大学、慶應義塾大学発ベンチャーとの共同研究で開発した。すでに8件の特許を取得しているという。
 
「入社後はおしぼりレンタルの将来性に不安を感じていたので、見聞と人的ネットワークを広げようと異業種交流会や社外のセミナーなどに積極的に参加しました。ところが名刺交換すると相手からは一様に『貸しおしぼりですか……』と軽視される。それが何よりも悔しかったですね。おしぼりをばかにされたことで、これを見返してやろうとさまざまなことにチャレンジしてきました」(克之氏)

 
芳香剤の開発、抗ウイルス・抗菌のおしぼり開発といった新規事業は、会社だけでなく業界のイメージを変えるための1つの手段として挑戦したものだった。
 
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