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10億円の負債から復活した老舗旅館
-ITの活用でCSとESの向上に成功-
陣屋

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2018年2月号
 

陣屋 代表取締役(女将)宮﨑 知子氏

陣屋 代表取締役(女将)宮﨑 知子氏


 
CSとES向上が成功の秘訣
現在は他旅館との連携を強化

 
陣屋コネクトの導入は、もう1つ大きな変化を生んだ。顧客満足度(CS)の向上である。例えば、リピーターが車で来館すると、駐車場の案内係は名前を呼んで迎える。車のナンバープレートを顧客情報と自動照合し、音声合成(AI)にて自動でスタッフのイヤホンやタブレットに情報が配信されるのだ。
 
また、料理の提供においてもきめ細やかな心遣いが行き届く。接客担当者は食品アレルギーの有無をはじめ、「白ワインを好んで飲んでいた」「○○の料理が残されていた」など、顧客が食事をしていた時の様子や会話内容についての情報を陣屋コネクトで共有。そうすることで、顧客が次回来館した際には情報を参考にしながら献立にアレンジを加えたり、好みのお酒を勧めたりするなど、きめ細やかなサービスを提供できるようになった。

 
そんなおもてなしのサービスが顧客から高い支持を集め、業績が回復していくきっかけとなった。2017年には約40名の従業員で売上高は約5億6000万円へと増加。改善前と比べ、3分の1の従業員数で2倍近くの売り上げを計上しているのだ。
 
「大切なのは、情報システムを活用して業務効率化を図るだけでなく、CSとESの向上も図ること。これが業績回復の最大のポイントです」(知子氏)
 
こうして経営を立て直すことに成功した陣屋は、次のステージを迎えている。自社で開発した旅館業の基幹システム「陣屋コネクト」を販売する会社・陣屋コネクトを設立し、他のホテルや旅館の支援に乗り出しているのだ。さらに、陣屋コネクトの導入がきっかけとなって、新しい助け合いネットワークサービス「陣屋EXPO」も誕生した。
 
「地域が変われば繁忙期も変わります。そこで、繁忙期の旅館で閑散期の旅館スタッフが研修(OJT)を行えば、旅館運営の安定化が図れます。他社で働くことで自社との違いを学んだり、スキルアップができるなど、さまざまなメリットがあるのです」(知子氏)
 
さらに他館との共同仕入れや、連携旅館の地元で採れた地場野菜を仕入れるなど、助け合いの輪は大きな広がりを見せている。
 
 

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