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DXで成果を上げる3つの決断
タナベ経営 取締役副社長 長尾 吉邦

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2021年10月号

 

 

【図表1】Digital Transformation Index 2020

資料:Dell Technologies「Digital Transformation Index 2020」
出所:デル・テクノロジーズ/プレスリリース(2020年11月19日)

 

 

「実装」なくして「成果」なし

 

「ファーストコールカンパニーフォーラム2021」のテーマは、「DX価値を実装する」。

 

「価値の実装」――この言葉にメッセージを込めた。

 

「実装」とは、「装置や機器の構成要素となるものを、すぐにも使えるように組み込むこと」を意味する。すなわち、「すぐにでも使える」「組み込む」というレベルにまでDXを引き上げることである。

 

さらに、「DXの価値を組み込む」という“手段”ではなく、「DXの価値を組み込み、経営成果を上げる」という“目的”の実現に対する強い思いを、このテーマに込めている。

 

「デジタルトランスフォーメーション」という言葉の初出は、スウェーデンのウメオ大学教授、エリック・ストルターマン(Erik Stolterman)氏が2004年に発表した論文「INFORMATION TECHNOLOGY AND THE GOODLIFE(情報技術と豊かな暮らし)」である。

 

DXの概念としては、「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」(総務省「情報通信白書(2019年版)」)という説明がなされるが、ビジネス用語としては定義・解釈が多義的である。

 

日本では、経済産業省が2018年に公表した「DX推進ガイドライン」の中で次のように規定されており、それがおおむねDXの定義として定着しつつある。

 

「本ガイドラインでは、DXの定義は次のとおりとする。『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。』」

 

17年も前から提唱されていた事実にいささかの驚きを禁じ得ないが、いまやDXは産業界のみならず、社会のトレンドワードとなっている。「2025年の崖」問題への対処という切迫感も相まって、DXの推進に対して異を唱える声はほとんど聞かれない。

 

ただ、「DXを実装しているか」「DXによる新しい価値が成果に結び付いているか」と問われれば、「いや、そこまでは……」と口ごもる経営者が多い。「課題は強く認識している。しかし、具体的に進んでいない」というのが実態であろう。

 

とはいえ、タナベ経営のDXを冠にしたセミナーはいずれも盛況であり、DXへの経営者の意欲が高まっていることは確かである。

 

しかし、その一方で、「日本は社会も企業もDXが遅れている」という指摘をよく耳にする。例えば、米デル・テクノロジーズが世界18カ国の大・中規模企業のビジネスリーダー4300人を対象に実施したDXグローバル調査によると、全体に占める「デジタルフォロワー(デジタル投資の計画を始めた企業)」と「デジタル後進企業」の割合が、日本は51%といまだに半数を超えている。グローバル平均は16.2%だ。(【図表1】)

 

また、米ガートナーが世界のCIO(最高情報責任者)1877人を対象に行った「2021年CIOアジェンダ・サーベイ」によると、DXが成熟段階にある企業の割合(グローバル平均)は、2018年の33%から2020年には48%へ増加した。一方、日本企業の成熟割合は23%から37%へ上昇。同社は「日本企業のデジタル化の取り組みは加速しているものの、世界のトレンドラインより約2年の後れを取っている」と指摘した。

 

これらのリポートが指し示す指摘は的確であり、多くの経営者が認めるところであろう。社会インフラなどの根深い問題があるものの、やはり現実は受け止めなければならない。

 

その中で、「日本のDXが進まない要因」として挙げられているのが次の3つだ。

 

(1)経営者の意識の低さ
(2)経営者の理解不足
(3)デジタル人材の不足

 

これら3つの事実を決断に換え、DXを実装して成果を上げることが重要である。

 

 

 

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