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vol.12 欧州市場をどう攻めるか(最終回)

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2019年10月号
 
 

約1年にわたり続けてきた本連載だが、今回が最終回となった。これまでに書いた内容を振り返りながら、今一度、日本の中小企業の欧州進出について提言をしたい。

 
 


 
 

欧州市場へのアプローチは多岐にわたる

 
欧州が物理的のみならず、心理的にも日本から遠い存在なのは今に始まったことではない。これが認識の起点にある。欧州が経済共同体としての在り方を探っていた1970年代初頭、日本の当時の通商産業省は欧州の行方にほとんど関心を抱いていなかったことが、当時のジャーナリストの取材によって確認されている。
 
EUと日本の間には、2018年に締結されたEPA(経済連携協定)がある。だが、欧州市場をビジネス的な視野に入れるべきかどうかは、少なくとも国の政治・行政レベルではなく、もっぱら各企業独自の戦略と趣味によるとしても差し支えない。すなわち、大きな潮流で欧州市場に向かわないと、大きな商機を失うとの動きが出る可能性は低い、ということである。
 
言うまでもなく、長い年数、欧州と関わってきた私自身にはさまざまな思いがある。思想から移民問題に至るまで、考えを重ねてきた人々と仕事を一緒にすることは、自らの考え方を深化させてくれる。あるいは洗練されたものにしてくれる。しかし、それを人間的にプラスと見るか、ビジネス的にプラスと見るかは、個人的な趣味や生き方に近い。
 
従って、仮に欧州に市場を求めるのであれば、経営者自らが好きな、あるいは関心が高い地域に的を絞っていくことを強く勧めたい。市場規模や商品の趣向についてのデータなどに振り回されるのではなく、どんなに嫌な経験をしても継続して取引を続けたいと思える地域があり、ビジネスパートナーがいることを第一に優先したい。
 
この地域の選択の際、最近のインバウンドの経験に重きを置き過ぎないのも肝心である。外国にいる旅行者の判断は往々にして極端であり、当然ながら非日常的である。「お土産」で買われるものが、旅行者が自国に戻って日常生活の中で日々使うものである確率は低い。よってお土産を相手国の消費傾向と推測するには無理がある。
 
何らかの日本での「ご縁」は大切であるが、経営者の「好き」はご縁を超えて道を開いていくとの確信が有用だ。
 
 
 

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