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vol.4 「自作自演」での欧州市場進出を考える

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2019年2月号
 

海外進出のリアルな現状を知るため、地場産業の商品の海外への販売促進に携わっているA氏から話を聞いた。そのやりとりから得た3つのテーマをもとに論を展開したい。

 


 

展示会参加だけが王道なのか

 
海外市場とあまり取引をしたことがない中堅・中小企業経営者や営業担当者が、欧州市場を開拓する際に陥りやすいわなはいくつかある。
 
それなのに、「ここにわながあります。こうしたらいいですよ」と事前に外部の人間がアドバイスしても、さほどの効果は期待できないことが一般的だ。
 
「多少の失敗はあるかもしれないが、国内市場の経験を応用すれば何とか開拓できるはずだ」という信念があるからだろうか、あまり他人の言葉に耳を貸さない人も少なくない。ともすると、「だいたいリスクを負っているのは自分なのだ。だから、余計な口出しは不要」とも言い出しかねない。
 
否定的な見解として先述した内容を紹介しているのではなく、そうした確信があるのは、ビジネスパーソンとして決して悪いことではないと思う。人の意見を聞かないと判断できない・動けないというのは、褒められたものではないからだ。自分で考え、実行し経験してこそ糧になる。そもそも、こうしたアドバイスを聞き過ぎる人は、なかなか実行に移せないだろう。
 
だとするならば、外部が用意したお膳立てに従うのではなく、自分(自社)でどのように自分(自社)をお膳立てするか、いわば「自作自演の場のつくり方」が課題になるだろう。
 
日本の某地方で地場産品の海外への販売促進に携わっている方(仮にA氏としておく)と意見交換をする機会があった。A氏はこれまで本連載で論じてきた内容への共感を示すとともに、その地域の海外進出の実態を教えてくれた。
 
A氏いわく、前回(2019年1月号)触れたように、展示会へ観光気分で補助金を使って出続けている事例は何度も目にしてきたという。そして、それが悪い意味で「地道な市場開拓の手法」として定着しているとのことだ。
 
市場開拓は、焦ることなく地道に進める。これが王道である。この王道に「補助金による展示会参加」という項目が、少なくない企業の方たちの頭の中で、デフォルトのように含まれているという話である。
 
これは日本の地方企業に限った話ではない。欧州企業の行動パターンを見ていても同じところがある。公のお金を使って、初心者が第一歩を踏み出すのは、それ自体悪いことではない。従って、ここで日本特有の動きだと悲観的に捉える必要はあまりない。
 
問題は、それを唯一の方法のように思い込み、その他のアプローチをまったくと言っていいほど検討した形跡がない事例が多すぎる、ということである。
 
だからといって、「今の時代、リアルな場に足を運ばなくてもやれることは多い。インターネットだけで何とかなるはずだ」と楽観的すぎるアプローチは注意が必要だ。ネットだけで何とかするには、相応の条件がそろっている必要がある。相応の条件とはネットで猛烈に強い商材であること、あるいは日本のリアルな場において存在感があるということだ。手軽だが、簡単に成功できるわけではない。
 
このように今回はA氏が現場で知り得た海外進出にまつわる問題点を紹介するとともに、欧州市場進出のための自作自演の場のつくり方について考えたい。
 
 
 

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