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Vol.1 分水嶺は 「売上高経常利益率5.4%」

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2020年2月号

 

 

のみ込むか、のみ込まれるか ——。

 

令和の時代の経営環境は、「過去に例を見ない企業再編の時代」になるだろう。現在、すでに加速化している大手企業の世界規模での再編が、如実にその先の未来を示している。

 

ライバル同士の資本提携、小が大を食うM&A(合併・買収)、ポートフォリオの大胆な組み替えといった業界内の再編はもちろんのこと、バリューチェーンの統合・分離のための再編、地域内異業種の再編、未来技術を求心力とした再編など、さまざまである。この流れは中堅企業にも、加速度を増して押し寄せてくる。後継者不足に悩む中小企業に対してはなおさらだ。

 

問題は、みなさんの会社が、のみ込む方か、のみ込まれる方かである。この分かれ目を決める要素は収益力だ。

 

企業の売上高純利益率(2006〜2015年平均)の国際比較によれば、世界企業は6.88%、米国企業は7.90%、欧州企業は6.31%。対して日本企業は3.61%と、世界企業の約半分の利益水準である。

 

そして、利益率の差は投資力の差となって表れる。市場開発、ビジネスモデル開発、M&A、技術開発、設備、マーケティング(ブランディング)、人材開発などの投資力に差が付く。

 

すなわち、企業の持続可能性に差が付くと言っても過言ではない。現在進行している企業再編を、よくよくウオッチしていただきたい。収益性の低い企業が、のみ込まれていることが分かるだろう。

 

ここで、日本の中小企業の実効税率を33%とし、日本企業の売上高純利益率3.61%から逆算すると、売上高経常利益率は5.4%となる。

 

この5.4%を、みなさんの会社が“のみ込む側”になるか、“のみ込まれる側”になるかの分水嶺とし、危機感の物差しにしていただきたい。

 

さぁ、事業ポートフォリオを組み替えていこう。ビジネスモデルを変化させよう。低収益事業は売却する、もしくは2、3年以内には収益力のある事業にしよう。

 

トップには未来を見る目が求められ、その目から見た危機感から来る決断が迫られている。

 

※経済産業省「世界の構造変化と日本の対応」(2018年5月)

 

 


 

 

Profile

 

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タナベ経営 取締役副社長
長尾 吉邦  Yoshikuni Nagao

 

タナベ経営に入社後、北海道支社長、取締役/東京本部・北海道支社・新潟支社担当、2009年常務取締役、13年専務取締役を経て、現職。経営者とベストパートナーシップを組み、短中期の経営戦略構築を推進し、オリジナリティーあふれる増益企業へ導くコンサルティングが信条。クライアント先の特長を生かした高収益経営モデルの構築を得意とする。著書に『企業盛衰は「経営」で決まる』(ダイヤモンド社)ほか。