TCG REVIEW logo

100年先も一番に
選ばれる会社へ、「決断」を。
【特集】

未来戦略

未来の不確実性が高まる中、企業には、外部環境を精緻に分析・予測することよりも、自社の意志でどのような未来を切り開くのかを明確に示すことが求められている。「前期の踏襲」をやめ、成長の限界を突破するための長期ビジョン・中期経営計画構築メソッドを提言する。
メソッド2021.09.01

中長期ビジョンのシナリオ設計と数値目標設定のポイント:石丸 隆太

 

中長期ビジョンをベースとした中期経営計画の構築

 

中長期ビジョンは10年などの長いスパンで自社のありたい姿を表すのに対し、中期経営計画は3~5年で達成を目指す計画である。

 

中長期ビジョンと中期経営計画の整合性を取りながら、3年×3回転、もしくは5年×2回転などで設計することにより、中期経営計画が中長期ビジョンのロードマップとして運用され、長期的な視点で活動を行っていくことができる。また、イノベーションを起こしやすい企業風土の醸成にもつながる。

 

事例を1つ紹介しよう。長野県岡谷市に本店を置く諏訪信用金庫は、地域に根差した営業活動を行う信用金庫である。同金庫は、以前からビジョンや中期経営計画を策定していたが、人口減少をはじめとする地域環境の変化を背景に、「第三者の視点を入れながら、自社の新しい価値観を創造していきたい」という理由で、タナベ経営のコンサルティングをスタートした。

 

タナベ経営が事前に実施した調査項目は、現状と将来のマーケット分析、事業・収益構造・組織マネジメントという3つの切り口からの内部分析である。その後、中長期ビジョン案と中期経営計画の戦略テーマを提示し、同金庫とディスカッションを実施した。

 

最終的に、同金庫は社内で話し合いを進め、意思決定を行った上で中長期ビジョンを決定した。新しいビジョンは、「ファーストコールしたくなる身近で元気な信用金庫~一歩踏み出すあなたを応援します~」である。「困ったときには諏訪信用金庫を思い出して、相談できるような信用金庫へ変革しよう」という意味が込められている。

 

企業のビジョンを決めるのは外部の人間ではなく、経営トップであり、幹部社員であり、一般社員であることを忘れてはならない。自社の中長期ビジョンを策定する際、ぜひこれらのポイントを取り入れ、サステナブルな未来経営モデル構築の第一歩としていただきたい。
タナベコンサルティング長期ビジョン・中期経営計画の情報サイトバナー

中長期ビジョンのシナリオ設計と数値目標設定のポイント:石丸 隆太

 

 

中長期ビジョン構築・推進支援コンサルティング

「TCB(チームコンサルティングブランド)」とは、専門分野のスペシャリストからなる顧客最適のチームを編成し、迅速かつ的確な解決策の提案を可能とする、タナベ経営独自のコンサルティングメニューです。

1 2
Profile
石丸 隆太Ryuta Ishimaru
タナベ経営 経営コンサルティング本部ドメインコンサルティング東京本部 部長。金融機関にて10年超の営業経験を経てタナベ経営に入社。クライアントの成長に向け、地に足の着いた熱い指導で、「着実に成果を生み出す」ことを信条にコンサルティング展開。営業・財務戦略立案~実行を中心に、「決めたことをやり切る」強い企業づくりを推進している。
未来戦略一覧へメソッド一覧へ特集一覧へ

関連記事Related article

TCG REVIEW logo