TCG Review

サイト内検索

中長期ビジョンのシナリオ設計と数値目標設定のポイント
石丸 隆太

1 / 3ページ


2021年9月号

 

 

シナリオ・プランニングで中長期ビジョンを考える

 

「ビジョン」とは、組織で共有する企業の将来像(ありたい姿)だ。VUCA※1の時代において、事業を通じて「未来に対して何をもたらすべきなのか」を考え、それをビジョンとして掲げることが、サステナブルな未来経営モデルの実現に向けた第一歩となる。

 

中長期ビジョンを考えていく上で必要なのは、外部環境の変化を長期スパンで捉えることである。現状を捉えるには、PEST分析※2やファイブフォース分析※3、SWOT分析※4などのフレームワークで事足りるが、未来が予測困難である現状を踏まえると、十分とは言えない。今後は、現状を捉えた上で将来のシナリオを複数描き、その中で「自社は複数のシナリオに対してどうあるべきなのか」を明確にする「シナリオ・プランニング」が必要になる。

 

将来予測は、あくまで過去と現在の延長線上にある未来を考えるものだ。一方、シナリオ・プランニングは、インパクトの大きさ(事業影響度)と不確実性の高さ(実現性)の2軸を【図表】のようにまとめた上で、重要と思われる変化要因を特定して複数のシナリオを作成し、自社がどう対応していくかを導き出すフレームワークである。複数のシナリオをつくっておくことにより、予測できないような環境変化へも対応できる可能性を高められる。

 

加えて、どのシナリオに対しても持っていなければならない視点は、「未来適応型」と「未来創造型」の2つである。未来適応型は、どのようなシナリオにも対応できる戦略・組織体制を構築する視点。未来創造型は、より素晴らしい未来を導き出す視点である。

 

 

※1…Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つのキーワードの頭文字を取った言葉で、将来を予測しづらい時代特性を意味する

※2…政治・経済・社会・技術の4つの観点から外部環境を分析する手法

※3…5つの観点(競合他社、新規参入企業、代替品、売り手の交渉力、買い手の交渉力)から業界の収益性を分析するための手法

※4…自社の社内リソースと自社を取り巻く外部要因を照らし合わせて分析し、今後挑戦できる市場領域や解決すべき事業課題を見つける手法

 

 

【図表】シナリオ・プランニングのフレームワーク

出所:タナベ経営作成

 

 

 

1 2 3