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アフターコロナにおける新規事業開発の方向性
命を守る事業分野×事業の多角化=新市場の創造
巻野 隆宏

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2021年5月号

 

 

新規事業開発に取り組む3つのアプローチ

 

 

 

 

Approach1 既存事業イノベーション型
既存事業に関して自社・ライバルのポジショニングマップを作成し、ホワイトスペースを発見するアプローチである。

 

自社を含めたライバル各社の強み・弱みを洗い出す

 

できるだけ詳しく、定量化できるものは定量化する。「自社の強みをライバルの弱みにぶつける」のが戦略の大原則なので、自社の強みとライバルの弱みを中心に洗い出す。

 

4象限のポジショニングマップにプロットする

 

この縦軸と横軸の設定が最も重要である。うまくホワイトスペースが見つけられない場合は、何度でも両軸を切り直す。何パターンも検討すれば、必ずホワイトスペースは見つかる。

 

ホワイトスペースで考えられるソリューションを検討する

 

顧客は誰かを具体的にイメージする。自社でできることだけにとどまらず、アライアンスを組むことで可能となるソリューションも検討する。

 

 

Approach2 ペルソナ課題解決型
ターゲット顧客をあらかじめ設定し、その顧客の課題を解決する事業を開発するアプローチである。

 

具体的にイメージできるターゲット顧客を設定する

 

取引先のAさん、社員のBさん、家族のCさん、友人のDさん、自分自身など、幸せにする顧客を具体的な固有名詞で設定する。

 

ターゲット顧客の困り事を洗い出す

 

多くの困り事を具体的に洗い出す。困り事の洗い出しと同時に、現在はその困り事に対してどのような代替策をとっているのかも洗い出す。

 

困り事に対するソリューションを検討する

 

1つずつの困り事に対してソリューションを検討する。ソリューションを考える際のポイントは、これまでにない新しい体験価値が提供できるかである。ホワイトスペースでのソリューションと同様に、アライアンスを含めて広く検討する。

 

 

Approach3 社会課題解決型
解決すべき社会課題を設定し、その課題を解決する事業を開発するアプローチである。

 

SDGsの17ゴール169ターゲットから、取り組むべきテーマを選ぶ

 

SDGsが掲げる解決されていない社会課題には、経済的な合理性を見つけることができなかった分野が挙げられている。社会課題解決に焦点を当てることは、経済合理性がないと見過ごされていた市場に目を向けることであり、成長する新市場の発見に寄与する。

 

ゴール・ターゲットに強みを掛け合わせソリューションの方向性を決める

 

今できることを基準にするのではなく、ゴール・ターゲットを実現するという大きな視点から、アライアンスも含めて逆算でソリューションを検討する。経済合理性がないと判断され取り残されている市場には、長期的視点と他企業を巻き込んだイノベーションが必要である。

 

KPI(重要業績評価指標)を設定し、具体的なソリューションに落とし込む

 

定量化することで進捗が見える化される。その情報をステークホルダーに開示することで、新市場の創造と企業価値向上につなげる。

 

これらのアプローチを参考に、まずは動いてみて視野を広げ、その上で修正をかけることをお勧めする。「命を守る分野への事業の多角化」をベースに新市場の創造を考えることで、これからの世の中に新たな価値を創出することができる。新市場を創造するということは、世の中の困り事が1つ減り、社会が1つ良くなることである。ピンチはチャンス。何かに貢献するミッションを掲げた新規事業に勇気と覚悟を持って挑戦する、今こそまさにその時である。

 

 

 

タナベ経営 経営コンサルティング本部 本部長代理
新規事業開発研究会

巻野 隆宏(まきの たかひろ)

企業の持続的な変化と成長をサポートする戦略構築に取り組んでおり、志ある企業・経営者のパートナーとして活躍中。「高い生産性と存在価値の構築」を信条とし、明快なロジックと実践的なコンサルティングを展開。新規事業開発コンサルティングチームのリーダーとしても、成長戦略の構築を提言している。

 

新規事業開発研究会

ウィズコロナ・アフターコロナを見据え、新たな市場を創造する新規事業への取り組みが企業にとって不可欠です。ゲームチェンジが加速する時代に、新規事業でイノベーションを起こし、持続可能な企業へと変革していきましょう。

https://www.tanabekeiei.co.jp/t/lab/newbusiness.html

 

 

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