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特別対談 インフラ・イノベーションが強くて豊かな国をつくる
京都大学大学院 教授 藤井 聡 氏 × タナベ経営 山本 剛史

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2021年2月号

 

 

優先すべきは防災投資と新幹線投資

 

山本 地方では、地域の経済や暮らし、安全を支えるために、インフラ事業に携わる企業、人材が重要な役割を果たしていることも事実です。

 

藤井 インフラ事業に携わる建設会社は地域に根差した企業体で、建設サービスを供給する組織であるだけでなく、地域の雇用を生み出して地域社会を直接的、間接的に支える存在です。半ば地域のインフラを守る役割を担い、場合によっては半公務員として復旧、復興にも取り組んでいます。ビジネスを超えた、地域にとって極めて重要な存在であると言っても過言ではありません。

 

山本 そうした役割にも注目しておかないと、災害などの危機に直面した際に多大な損失を被ることになるのではと心配です。最後になりますが、公共事業において今後5年、10年で優先すべき分野はどこでしょうか。

 

藤井 防災投資と新幹線投資は最優先で取り組むべきでしょう。私は安易なインフラ事業の削減が、東日本大震災の被害拡大や熊本県・川辺川ダムの工事中止に起因する球磨川の氾濫につながったと思っています。懸念されている南海トラフ地震や首都直下型地震など大型災害への対策はもちろん、年々大型化する台風や高潮の防災工事が急務です。

 

また、東京一極集中の緩和は、巨大地震やパンデミックの被害拡大を避けるのに不可欠であり、新幹線投資はそのための重要な施策と考えています。もちろん、それ以外の事業についても粛々と取り組んでいくべきなのは言うまでもありません。

 

山本 ここ数年、特に自然災害による被害拡大を目の当たりにして、国民の意識は変わりつつあるように思います。適正な公共投資によって地域の安全や発展、国民の幸福が実現できるよう、国民一人一人が理性的に、より広い視点で捉える必要性をあらためて痛感しました。本日はありがとうございました。

 

 

 

京都大学大学院 工学研究科 都市社会工学専攻 教授 博士(工学)
京都大学レジリエンス実践ユニット長

藤井 聡(ふじい さとし)氏

1968年奈良県生まれ。京都大学大学院教授(都市社会工学専攻)。京都大学大学院工学研究科修了。東京工業大学教授、イエテボリ大学心理学科客員研究員などを経て、現職。第2次安倍内閣で内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)を務めた。専門は公共政策に関わる実践的人文社会科学。2003年に土木学会論文賞、05年に日本行動計量学会林知己夫賞、07年に文部科学大臣表彰・若手科学者賞、09年に日本社会心理学会奨励論文賞および日本学術振興会賞などを受賞。『コンプライアンスが日本を潰す』(扶桑社新書)、『強靭化の思想』『プライマリー・バランス亡国論』『インフラ・イノベーション』(全て育鵬社)など著書多数。

 

タナベ経営 執行役員 経営コンサルティング本部 本部長
建設土木の新規事業、ヒト、社会インフラづくり研究会リーダー

山本 剛史(やまもと つよし)

企業の潜在能力を引き出すことを得意とする経営コンサルタント。事業戦略を業種・業態ではなく事業ドメインから捉え、企業の固有技術から顧客を再設定して事業モデル革新を行うことに定評がある。現場分散型の住宅・建築・物流事業や、多店舗展開型の小売・外食事業などで生産性を改善する実績を上げている。神戸大学大学院卒。


建設土木の新規事業、ヒト、社会インフラづくり研究会

新しい「インフラ」を地域に創り、地域イノベーションを全国各地で積み重ねていくことが求められています。本研究会では、全国各地で果敢にチャレンジする企業から実践事例を学びます。

https://www.tanabekeiei.co.jp/t/lab/infra.html

 

 

 

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