TCG Review

サイト内検索

特別対談 道徳経済合一で持続可能な経営を目指す
現代に生きる渋沢栄一の経営哲学
渋沢史料館 館長 井上 潤 氏 × タナベ経営 北島 康弘

1 / 4ページ


2020年12月号

 

 

渋沢栄一(1840~1931年)
江戸時代末期に現在の埼玉県の農家に生まれる。一橋慶喜に仕え、のち幕臣となる。明治維新後は民部省、大蔵省へ勤める。退官後は第一国立銀行など約500社の設立・育成にかかわり、「近代日本資本主義の父」などと呼ばれる。

 

 

「近代日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一。経済と道徳の融合を図った経営哲学には、混沌とした時代こそ立ち返るべき本質や原点が散りばめられている。変化の激しい時代を生き抜き、持続可能な経営を果たすために不可欠なものとは何か――。2020年11月にリニューアルオープンした渋沢史料館館長の井上潤氏に伺った。

 

 

渋沢史料館で渋沢栄一の哲学を伝える

 

北島 渋沢栄一先生は、500社近くの会社設立・育成に携わり日本の近代化を推進されました。道徳と経済の一致を説いた著書『論語と算盤』は今日まで読み継がれ、多くの経営者の羅針盤となっています。渋沢先生をモデルとする2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』のスタートや2024年に刷新される1万円札の図柄決定を受け、あらためて渋沢先生に高い関心が集まっています。その業績や経営哲学などを紹介する渋沢史料館が、2020年11月19日にリニューアルオープンしました。おめでとうございます。私も渋沢ファンの1人として、見学するのを楽しみにしています。

 

井上 ぜひお越しください。ただ、コロナ対策として、当面は完全予約制で一度に入館できる人数の上限を設けています。実は、リニューアルオープンは3月の予定でしたが、コロナの影響で展示の見直しや追加工事を実施したため11月に延期しました。現在は3密の回避や消毒の徹底、安全にご覧いただける展示やコンテンツへの変更などの対応を講じて皆さまをご案内しています。

 

北島 開館は1982年とお聞きしています。まずは史料館の目的や概要についてお聞かせください。

 

井上 当館は、渋沢栄一の事績や考えの紹介、普及を目的に開館しました。旧渋沢邸内に残る国指定重要文化財の建物「晩香廬」「青淵文庫」のほか、1998年に新築した本館を加えた3施設で運営しています。

 

開館当初は史料の展示が中心でしたが、1989年に各分野の研究者が集まって渋沢研究会を発足。翌年の渋沢生誕150周年に合わせて外部施設での展示やシンポジウムを開催しました。それを機に、史料館での展示のみならずイベント開催や講演などへ活動が広がっています。また、財団事業として国内外の研究者や大学との交流や共同研究、セミナーの開催にも取り組んできました。

 

 

 

1 2 3 4