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持続可能な物流をつくる 土井 大輔
ビジョン・経営計画の見直しの必要性 番匠 茂
持続可能な物流を可能にする「共創」 竹林 剛

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2020年8月号

 

 

持続可能な物流をつくる
土井 大輔

 

 

【図表1】水平の共創

 

 

【図表2】垂直の共創

 

 

物流業界における3大課題

 

世の中に“どこでもドア”はない。マスクもインスタント食品も日用品も全て、物流が稼働しているおかげで店頭に並び、自宅に届く。新型コロナウイルスが猛威を振るった今春、物流業界の方々が感染リスクのある中で業務を継続し、物流を支えてくれていたのだと思うと感謝しかない。

 

その半面、現場の省人化・自動化を進める必要性、投資のための原資の確保など、業種・業界を問わず「持続可能な物流体制」を構築することが、事業の継続や社員と家族の安心につながるとあらためて認識した期間だった。

 

物流業界における課題は大きく3点ある。

 

(1)労働力不足

 

2024年4月からドライバーの時間外労働の上限が年間960時間となり、時間外労働は現状の83%に抑えられる※1。また、2028年ごろにはドライバーの数は約76.3%へ減少すると言われている。つまり、10年もたたないうちに83%×76.3%=63%の人員での対応が迫られるのだ。

 

さらに、厚生労働省の発表によると「自動車運転の職業」の有効求人倍率は2.11倍(2020年5月分)となっており、1名の候補者に2社が求人を出している状態である。二者択一で選ばれる魅力の発信が必要となる。

 

(2)低い生産性

 

車両を101台以上保有している貨物運送事業者の平均営業利益率は0.8%※2と低収益である。

 

全業種と貨物運送業を比較しても、貨物運送業の人時労働生産性は低く、そもそも付加価値額を抜本的に上げていく必要がある。

 

一方で、「人手が足りない」「車両が足りない」と言いながら、トラックの積載効率は40%を割り込んでいる※3のが現状である。

 

(3)単独改善の限界

 

国土交通省の調査によると、1運行当たりの荷待ち時間は平均1時間45分※4である。物流機能は「受け身型」のビジネスモデル・ポジションであることが多く、単独での改善には限界がきていると言える。

 

2020年4月24日には国土交通省より「トラック運送業の標準的な運賃」が約20年ぶりに告示された。その中で初めてドライバーの待ち時間を換算する基準が設けられ、待遇改善に期待が高まっている。

 

 

※1…現在、4時間/日の残業×22日+休日出勤8時間/月=88+8=96時間/月の時間外労働とした場合、960時間÷12カ月=80時間/月が上限となると、96時間→80時間=83%となる
※2…全日本トラック協会「経営分析報告書―平成30年度決算版―」
※3…国土交通省「自動車輸送統計年報」(平成30年度分)
※4…国土交通省・厚生労働省「トラック輸送状況の実態調査(平成27年)」

 

 

 

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