TCG Review

サイト内検索

トータルコミュニケーション戦略
原 泰彦

1 / 4ページ


2018年1月号

東京本部 食品・フードサービス 本部長代理
食品・フードサービス成長戦略研究会 リーダー

原 泰彦 Yasuhiko Hara
外食業界で統括業務、新規事業・業務開発に従事後、タナベ経営入社。新規事業立ち上げ、マーケティング戦略立案、人材育成を得意とする。信条は、「サービス産業のポジティブカタリスト(触媒)」。サービス業で働く人が、さらに輝き続けられるよう、変化と成長を支援する情熱的なコンサルティングを展開中。上場・中堅外食企業のコンサルティング事例多数。

 

情報爆発社会と「3つのM」

 
ITの進化を背景とした急激な情報量の増加、いわゆる「情報爆発(Info-plosion)」により、消費者は無意識のうちに毎日4000~5000社の企業からのメッセージに触れているといわれる。もはや単発の販売促進がほぼ無意味な状態に陥っており、市場や消費者とのコミュニケーションの在り方が大きく問われ始めている。

 
「コミュニケーション」という言葉はいまや日本語として定着しているが、その意味を説明しようとすると意外に難しい。ここでは、人と人、あるいは企業と消費者が、考えや感情・情報を交換し、ある情報が何かの「意図」を持って「伝達」されたと、相手が「理解」した状態と定義する。

 
このように定義してみると、企業は本当に消費者とコミュニケーションが取れているのか、疑問に思えるような広告や販売促進も多いのではないだろうか。
 
昨今の食品・フードサービス業界における企業間競争は、品質・サービスの良しあしというよりも、過剰な販促合戦で競り合っている印象が否めない。従って、情報爆発社会においてはマーケット(≒対象者)、メディア(媒体)、メッセージ(訴求内容)という「3つのM」をつなぐ、「トータルコミュニケーション」(【図表1】)が必須になっている。

 
ここでいう“メディア”とは、テレビや新聞・雑誌・ラジオなど「4大マスメディア」だけでなく、企業と顧客の接点にある全てのものをいう。例えば、企業ホームページや会社案内、名刺、請求書、商品やサービス自体はもちろんのこと、営業担当者やコールセンター、営業車両や商品パッケージに至るまでを包含する。
 
商品やサービス自体には経営者も十分に関与していたにせよ、ホームページやその他のものは担当者任せになっている企業がほとんどであろう。一般的に食品・フードサービス業の販促費用は、対売上高構成比で3~5%程度が適正値とされている(ただし大量のテレビCMを出稿している企業は例外である)。社外の人の目に触れる媒体の全ての制作費や、従業員の人件費までを合計すると、かなりの金額に上る。
 
また、卸を経由して量販店に販売している食品メーカーなどは、卸に対するリベートの他、値引きや取引条件・慣行による出費(センターフィー・協賛金など)まで含めると、売上高に占める総販促コストの大きさにため息が出てくるのではないだろうか。
 
201801_01_method_01
 
 

1 2 3 4